ソフトバンク

2018年12月28日 (金)

携帯で振り返る2018年 (ワーストバイ編)

本家大本の読者が選ぶケータイ of the Year 2018が発表されました。トップに輝いた機種は本項の中にあります。筆者が2018年を代表する端末として選定したGoogle Pixel 3は次点、INFOBAR xvはトップ10入りを果たしました。トップと3位は揃って、渦中のあのメーカーの端末になっています。意外なことに、カードケータイKY-01Lもトップ5圏内でした。

一方で、今回は2018年に発売された端末の中で、人によっては買って後悔しそうな機種を紹介したいと思います。但し、なんとか創意工夫することで使いやすさが向上することがあるので、絶対にクソというわけではありません。あしからず。

■ワーストバイ: iPhone XS/XS Max/XR
(Apple Japan合同会社)
―国民的スマートフォンが「切り捨てたもの」とは…

Iphonexsspaceselect2018

やはり今年もワーストバイに選出したのはiPhoneファミリー。いずれも昨年のiPhone Xを継承した設計で、ノーヒントでは非常に使いづらい代物です。つまり、改善すべき点を放棄したまま世代交代が横行されてしまった印象を受けました。とうとうiPhone 8のようなコンサバ風のデザインをした機種が復活することはかないませんでした。価格もXS/XS Maxは青天井と言わんばかりに暴騰しており、国民的スマートフォンのくせに敷居を自ら高くしてしまった印象があります。

Iphonexrselect201809

iPhone XRは事実上iPhone 8の後継機といえますが、それでもiPhoneの持つイメージにそぐわない端末であることに変わりありません。フリーフォーム液晶搭載ですが、実はPPIがずっとiPhone 4の時代のまま(326ppi)で推移しているため、もはや老眼フォンという不名誉な称号の再来を感じさせます。その大柄さと格上のXSよりも重いことから当初は不人気でした。それでも今はコストパフォーマンスの高さが評価されて徐々に売れてきていますが…。

iPhone 7以降でヘッドホン端子廃止、iPhone Xの登場でホームボタン廃止…と、シリーズの象徴を次々と切り捨てているiPhoneですが、今後はLightningコネクターを堅持するか、それともiPadのようにあっさりとUSB Type-Cへ乗り換えるかが注目されています。次期iPhoneに期待すべきことはまさにこれでしょう。LightningコネクターはもはやiPhone専用と化した感がありますが、iPhoneユーザーにとっては却って不便を強いているのも事実で、USB Type-Cへの対応が実現すれば持ち歩くケーブルの本数が減る、わざわざ変換アダプターを携帯せずに済むなどのメリットがもたらされるのも事実。

これが実現したら、今までマイナスにしか働かなかったシリーズの象徴を捨て去ることがむしろプラスに働きそうです。実際、Apple純正のヘッドホンアダプターはLightningコネクターだけで無くUSB Type-C対応版も発売されている上に、Appleの提唱する高速伝送I/O、Thunderbolt 3コネクター自身がUSB Type-Cにて対応するUSB 3.xと互換性を保っています。

■アグリエスト: SONY Xperia XZ2 Premium SO-04K/SOV38
(ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社)
―高さの割にコンサバさが目立つ「鈍器」

So04k

最も醜い端末、即ちアグリエストに選出したのはXperia XZ2 Premiumです。Xperia初のデュアルカメラ搭載で、超高感度撮影やHDR撮影が可能ですが、「今までできなかったことを無理やり詰め込んだ」印象が強く、スマートフォンなのに250g近くもある大砲巨艦主義の端末になってしまいました。この頃のハイエンドスマートフォンに近い重量のXperia XZ Premium(191g)と比べても1.5倍ほど重いです。

ベゼルがようやく狭くなったものの4Kディスプレイ搭載にこだわりすぎて長尺ディスプレイにできなかったため、全体的なデザインもかなりずんぐりとした印象を受けてしまいます。よしんば4K有機ELディスプレイがスマートフォンに搭載できる解像度まで微細化が進んでいれば、加えて長尺化できていれば…と言う点では本当に惜しい。デザイン面で本当に中途半端で、2018年のXperiaの迷走を象徴する端末と言っても過言ではありません。端末単体でHDRコンテンツが再生可能など、かなり頑張っていたんだけどなあ。

XZ2 Premiumに限らず、XZ2系以降の機種でヘッドホン端子を廃止したことを「約束を反故にした」として忌み嫌ったユーザーも多かったようです。ソニーモバイルは元々、Xperiaにヘッドホン端子を搭載し続けることを約束していたのですが…。これが皮肉なことに、ヘッドホン端子搭載のXZ1系やXZ Premiumの売れ行きを促進させてしまう結果になってしまいました。言わずもがな、Xperia XZ Premiumが再評価される契機にもなってしまったのです。

Sov38

この機種はauのXperia初のプレミアムモデルでもありましたが、この有り様だったので苦々しいプレミアムモデルau初進出となってしまいました。

■ディフィカルト: Huawei P20 Pro HW-01K
(華為技術日本株式会社)
―一芸入魂型の、中華スマホの長所と短所を併せ持った機種。

Hw01k

良くも悪くも今年の携帯業界を賑わせたのがHuawei。Androidスマートフォンの王者サムスン電子とiPhoneのAppleを追い上げ、現在は世界シェア2位と荒ぶっています。この頃は先進諸国から5Gベンダーおよび5G端末メーカーの指名から締め出されると言うことで、良くも悪くも話題になりました。

Huaweiの強みと言えば、やはりモデムもSoCもグループ会社で開発できることになるでしょう。HiSiliconという会社で開発しているKirinシリーズがいずれもハイパフォーマンスと評判です。今までキャリア端末においてはその技術力を活かしたタブレットやデータ端末で研鑽していましたが、2018年に入り突如、大手キャリアへ本格参入し出しました。

この機種は発売地点でHuaweiのフラッグシップモデルでした。そのため、モバイルファンからの期待はとても高かったです。ライカブランド認証を受けたトリプルカメラ搭載で、しかも最高40メガピクセルという高解像度でした。この3つのカメラの組み合わせによって、多彩な写真・動画撮影が可能な点が大きな魅力でした。

それ以外はといえば基本性能は高水準ですが、かなりUIの面でメーカー独自カスタマイズが入っていたり、グレードの割に一部機能が省かれていたりと、使い勝手の面でかなり癖が強くなっています。必ずしも万民受けしにくいという意味で、ディフィカルト(扱いの難しい端末)に分類しました。カメラは最高クラスですが、操作性は他社から移行したユーザーなら「慣れ」が必須になってきます。

携帯で振り返る2018年 (ベストバイ編)

いよいよ本題。2018年に発売された携帯電話端末の中で、これは「買いだ!」と筆者が思った端末を紹介していきたいと思います。

■マストバイ: Google Pixel 3(グーグル合同会社)
―これも「答え」の1つ。Androidで迷ったらまずこれを。

Pixel3

今年のマストバイとして、筆者はGoogle発売のスマートフォン、Pixel 3を選出しました。日本市場で久々に発売となる、Googleが直接開発に携わったスマートフォンです。丁度良い大きさと軽さ、SDM845搭載のハイエンド機のトレンドを全てではないものの一通り搭載など、スマートフォンとして広汎にわたる高い完成度を評価しました。この頃普及が急がれている電子決済に対応すべく、おサイフケータイにも対応しています。アップデートもGoogle本体で担当しており、UXに直接響く本体ソフトウェアやAndroid OSの更新も最先端を追えるのが魅力でしょう。

この頃はセキュリティパッチ配信などが端末メーカーにとっては重荷になっているようです。メーカー機は機種によってOSバージョンアップのフラグメンテーションを起こしてしまうため(ドコモやauで実施されたものがソフトバンクで実施されない、など)、それに辟易させられた方ならこの機種を選ぶべきでしょう。

とは言うものの、Androidには「リファレンス」というべきスマートフォンが不在のため、Pixel 3がリファレンスというわけではありません。「Nexusがー、Nexusがー」というのはGoogle原理主義者の弁であり、必ずしも当を得た主張にはなっていません。誤解を招くようですが、PixelシリーズはGoogleの考えるAndroidのデザインを具現化したもの、と捉えるべきです。

■ストロングバイ: INFOBAR xv KYX31(京セラ株式会社)
―原点回帰。ガラホとして蘇った「伝説」の携帯

Kyx31

ストロングバイに選出したのはINFOBAR xvです。INFOBARシリーズはau design projectのスタートアップを華々しく飾っただけでなく、その後の携帯電話の端末デザインにも大きな影響をもたらしたことで有名です。スマートフォンとしても展開されていたことがありましたが、UIの都合でOSバージョンアップが提供されなかったり、端末自身の完成度が低かったりと必ずしも順風満帆ではなかったようです。

端末としては京セラが開発しているau向けガラホ、MARVERA KYF35とほぼ同じスペックです。ガラホとしては珍しくFMラジオが(電波を受信して)聴ける端末というのもなんともauらしい。勿論、FM補完中継局(ワイドFM)も聴けます。

いい意味で原点回帰したこの端末は、スマートフォン時代に得られなかった好評を以て歓迎されました。スマートフォンとの2台持ちを検討中の方にお勧めです。

■レコメンド: SHARP AQUOS sense2(シャープ株式会社)
―ミドルレンジ機かつ入門機としてはベストバイと言うべきか?

Aquos_sense2


ミドルレンジ端末の売れ筋となったAQUOS senseシリーズの最新機種、AQUOS sense2を老若男女問わずお勧めしたい端末、即ちレコメンドとして選出しました。シャープのミドルレンジ端末は非常にバランスが取れており、常にお勧め端末の筆頭に上がるほどです。筆者はXperia XZ SOV34の外装交換時にauに於けるAQUOS senseシリーズの原点と言えるAQUOS U SHV35を代機として使ったことがありまして、ミドルレンジ端末だとは信じがたいUXの良さが気に入っていました。

sense2はSDM450を搭載したミドルレンジ機ですが、長尺ディスプレイの搭載、カメラ周りやアシスタント機能などにAIの導入という風に、ハイエンド機のトレンドを一部取り入れています。シャープ製端末は2016年発売の機種からAndroidバージョンアップを最低限2度実施、セキュリティパッチも最長3年間更新という不文律があり、長く使う上でも安心感があります。

スマートフォンはもはや設計が煮詰められており、1人1台の時代になっています。ドコモ版はdocomo with対象機種になっていますし、他社版も格安プランと合わせることで経済性の良さが際立っていきます。あんまりゲームをやらない、通信速度にこだわらないが安定して通信できるスマホが欲しいなど、必ずしもハイエンドにこだわらなくて良い環境にある方はこの機種も検討対象とすべきでしょう。

2018年12月25日 (火)

携帯で振り返る2018年 (はじめに)

インプレス企画の読者が選ぶケータイ of the Year 2018の投票が締め切られました。そこで筆者も毎年恒例の対抗企画を催したいと思いますが、趣向を変えて「携帯で振り返る2018年」としてお届けします。

今後の予定は、

・今年の携帯市場の傾向(今回)
・ベストバイ端末(旧・筆者が選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー)
・ワーストバイ端末(旧・筆者が選ぶクソケータイ・オブ・ザ・イヤー)


の3部に分けて特集してみようと思います。ベストバイ、ワーストバイに区分を変えたのはこの頃の生産技術の向上で明らかに「クソ」といえる機能不全または不良が無くなったためです。

さて、今回は例によって、業界および端末の傾向を見ていきたいと思います。

■大きく二極化した市場
iPhoneが7の時代から10万オーバーになって分割を組めなくなった契約者も相次いだとおり、スマートフォンは大きく分けてとびっきり高いハイエンド機と、とびっきり安いミドルローレンジに大きく二極化しました。もはやスマートフォンの端末価格は青天井になるばかりで、それを嫌気した多くの契約者がミドルローへ逃げてしまったのも事実です。このような有り様のため、多くの契約者は十分高性能化したスマートフォンへの関心が薄れていきました。こうして、壊れたら買い換えるという風にライフサイクルが長く伸びたのも事実です。

日本市場ではこうなったのは間違いないですが、中国市場ではハイエンド機向けSoC搭載で、キャリア端末に於けるローエンド機並みの価格を実現してしまった機種が荒ぶっています。ひどい場合、Snapdragon 845搭載で5万円割れです。生産技術を研鑽していったことと売り上げ台数の多さによる量産効果がもたらした破壊的イノベーションでしょう。

その結果、世界的なスマートフォン大手メーカーですら中国市場で悪戦苦闘を強いられる結果となり、サムスン電子とソニーモバイルが大きくシェアを落とす要因になってしまいました。せっかく中国市場に復帰しようとしていたシャープもまた、大打撃を受けていたとのことです。

■立ち位置が微妙になってきたガラホ市場、だが…
2015年に新たな形のフィーチャーフォンとして登場し、業界に一石を投じたガラホ。料金体系もフィーチャーフォンに合わせられており、維持費の安さから根強い人気を誇っていました。その中で際立ったのはNTTドコモのガラホへのやる気のなさで、その一方でガラホのパイオニアたるauが奮闘しています。ソフトバンクもそこそこ力を入れていると言える分野です。

実際、KDDI株式会社は旧来のフィーチャーフォンおよび3Gスマートフォンの計画的陳腐化を画策しています。2018年3月末でEZwebの主要サービスの殆どを終了し、Webサービスとメールに限ってしばらく継続させる方針を採っていました。本体ソフトのアップデートサービスであるケータイアップデートも2018年6月20日限りで終了させていました。

そして、2022年3月末で3G網そのものを停波することにしており、音声通話に3G網を用いるLTE端末もその影響を受けることになりました。なお、KDDI自身はそれに先立って、2018年11月7日付で3G網の新規加入受付および契約切り替え、それに伴うプリペイド携帯サービスの受け付けを終了しています。

そんな中、ドコモは2台持ち需要やカメラ付き端末を持参できない環境で使われることを想定したカードケータイKY-01Lを、auは「ガラホだから復刻できる」としてINFOBAR xv KYX31を世に送り出すことになりました。スマートフォン時代のINFOBARはいずれも評価が芳しくなかっただけに、ガラホとしての復活は概ね好評を以て迎えられました。

■ノッチレス長尺画面か、ベゼルフリーか
昨年の流れからGalaxy Sシリーズ/Noteシリーズに代表されるノッチレスの長尺画面になった端末や、iPhone Xシリーズの流れからノッチ付きでもベゼルフリーを目指した端末が増えてきました。こうした趨勢に便乗せざるを得なくなったのはソニーモバイルで、ステレオスピーカー搭載にこだわるあまり最後発になってしまいましたが結果的にGalaxyのようにノッチレスで長尺画面を目指す方向性になっています。

変わったベゼルフリー画面を実現した例としてはシャープ株式会社のAQUOS R2があります。ノッチをフロントカメラのみに割り当てる形状で、かつてEDGESTで極限まで細めた受話口や近接センサーを実現したシャープらしいものです。IGZO液晶の動作原理も大きく影響しており、液晶ディスプレイながら自由度の高い形状を実現したフリーフォームディスプレイの技術が活用されています。

一方、ミドルハイやローレンジ機はこのようなベゼルフリーやノッチレスにこだわる必要が薄く、デザイン面でもコンサバ風になっています。それでも2.5Dガラスなど、かつてのハイエンド機に活かされた技術はそのまま継承されています。

今まで色合いが変だとか、すぐ焼き付くからという理由で忌避されていた有機ELですが、今後は自発光による省エネ性、動画性能の良さ、HDRコンテンツとの相性の良さからスマートフォンのディスプレイの主流になることは避けられません。ここ数年でブレークスルーがあったようで、焼き付きにくいディスプレイにもなったようです。

2017年12月28日 (木)

筆者の選ぶクソケータイ・オブ・ザ・イヤー2017

本家大元から読者が選ぶケータイ of the Year 2017が発表されました。その結果は後ほど明らかにするとして、いよいよ、2017年に発売された中で最もイマイチな端末である筆者の選ぶクソケータイ・オブ・ザ・イヤー2017を発表したいと思います。

※あくまでも2017年に発表された端末の中で最もイマイチなだけで、ユーザーの技量により問題なく使えたり、何らかの工夫があれば快適に使えるようになります。選出されてしまった端末をご利用の方も引き続き、安心して運用してみてください。

■大賞
Apple iPhone X
(Apple Japan合同会社)
―イノベーションのために犠牲にした操作性と普遍性

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Apple iPhone 8/iPhone 8 Plus
(Apple Japan合同会社)
―iPhone Xの前座に終わってしまった、ガッカリ度ではシリーズ史上最悪の機種

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2017年に発表された中で最も不名誉な称号を得ることになってしまったスマートフォンはなんと、2年連続で日本における巨人、AppleのiPhoneとなってしまいました。昨年のiPhone SEの評判のよさとは裏腹に、メインストリーム端末がご覧の有り様とは嘆かわしい限りです。それでもこれしか選ばないユーザー層も相当大概にしてほしいものです。

[選評]
今年はiPhoneが誕生して10周年の節目にあたります。そんな中で発売された機種群がシリーズ史上最悪の機種になるとは誰も予想だにできなかったことでしょう。そのいずれも理由は異なるものの、ため息が漏れるほどのガッカリ度です。

まず、iPhone 8/8 PlusはAppleがかつてほどイノベーティヴなブランドでなくなったことの証左です。むしろ、この機種を出したことでAppleは「攻め」から「守り」に態勢を変えてしまっています。スペック上もSoCやモデムが変わったこと以外はiPhone 7/7 Plusとほとんど同じです。よって、iPhone 8/8 Plusはジェネリックな端末と化し、今までのiPhoneと同じスタイルの端末を求める方々のためだけに存在しているといっても過言ではありません。どストライクにいえば、日本の中高生やF1層を狙った端末です。

ここからが本題です。iPhone 8/8 Plusを売れなくした主犯、iPhone Xです。日本では2017年11月3日に発売され、ちょっとした社会現象になりました。そうです、日本市場ではかつて発売された端末(主に日本メーカー製)への心象の悪さから未だにAndroidへとんぼ返りできていない人がおり、最終的にiPhoneへ固定化されてしまった契約者が多いのです。実際は、心変わりしてAndroidへとんぼ返りした方々からは、Androidがおおむね好意的に見られているようですけどねえ…。

そのため、先進諸国では圧倒的にAndroidが高いシェアを誇っているのに対し、日本ではiPhoneの一人勝ち状態が長らく続いています。これはかつてのメインフレーム市場で一強を誇ったIBMを喩える際の「白雪姫と七人のこびと」と同じ状態で、日本ではAppleが白雪姫、そしてAndroid陣営が小人というわけです。それゆえ、日本ではiPhoneの新機種が注目を集めることを余儀なくされています。実際、iPhone 8シリーズ、iPhone Xの両方とも発売当日にテレビニュースになったほどです。

iPhone 8/8 Plus/Xともいずれも基本的なスペックは同じです。SoCはApple A11 Bionicへ進化しており、むしろSnapdragon 835 MSM8998を大きく凌駕するスペックになっていました。CPU部はSnapdragon 808 MSM8992のように低負荷処理用のクアッドコアと高負荷処理用のデュアルコアの2クラスターで構成されるbig.LITTLE処理を採用したヘキサコアCPUを採用。GPUは長らく採用してきたPowerVRに代わり、Apple自社設計のトリプルコアGPUとなりました。この頃話題を集めているディープラーニングに対応しており、実際にニューラルエンジンと呼ばれるAI処理回路が搭載されていました。シャープのエモパーがソフトウェアでAIを実現したのと対照的に、AppleはハードウェアでAIを実現しています。RAM容量はiPhone 8が2GB、iPhone 8 Plus/Xが3GBとなっていました。年々カーネルが肥大化していくiOSに対応すべく、ストレージ容量は64GBと256GBの2種類となりました。

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とりわけiPhone Xが注目を集めることになった理由はシリーズ初となったそのベゼルレス設計にあるでしょう。本体サイズいっぱいにディスプレイが搭載されています。とはいえ、それ自体は斬新なものではなく、既にGalaxy S8/S8+LG G6/V30などでも採用されていた設計でした。このベゼルレス設計を実現するため、シリーズで初めて有機ELディスプレイが採用されることになりました。iPhone 8/8 Plus/X発売に合わせて開発されたiOS 11も、本格的にベゼルレス設計を念頭に置いた設計になっていました。このような先進性から、株式会社インプレス主催の読者が選ぶケータイ of the Year 2017のトップに輝いた端末でもありました。

iFixitのレポートによれば、iPhone Xは非常に興味深い設計になっており、マザーボードは多層基板となっているうえに両面にびっしりとデバイスが実装されており、その一部はなんとBGA(はんだボール)により固定されていたそうです。バッテリーも、その多層基板を限られたスペースに収めるべく、スマートフォンとしては珍しく2セルバッテリーを搭載していますが、実態としては並列接続となっていました。iPhone Xのこのような高集積化は今に始まったことでなく、MacBookシリーズの基板小型化のノウハウが活かされているようです。

この設計のためにホームボタンが廃止され、様々な操作は後述するようなハードウェアキーの組み合わせや画面操作で代替されることになりました。つまり、ヘッドホン端子に次いでiPhoneの象徴だったものがまた1つ消え去ったのです。また、ホームキー廃止の影響で指紋認証であるTouch IDも廃止され、その代わりに顔認証によるFace IDが新たな認証システムとして組み込まれました。

iPhone Xは非常に凄まじい設計ではありますが、純粋にスマートフォンとしてみた場合はかなり辛辣な見方しかできません。ベゼルレス設計に挑んだのはいいですが、そのために操作性を犠牲にしてしまっています。本体サイズいっぱいの画面を実現するのは現在の技術では限界があったのか、画面上部のパーツの部分に切り欠きができてしまったかような歪な画面になってしまいました。スクリーンキャプチャーではその部分も補完されますが、結局何も映らないようです。

特にユーザーを困惑させることになってしまったのがその操作方法です。Androidならば画面上に表示するナビゲーションバーがあるためにハードウェアキーを最低限搭載していてもこれらで様々な操作を補完できますが、iOSはその搭載すら念頭に入れていないユーザーインターフェイスだったため尚更問題になったのです。一言では説明しきれない操作が非常に多いので、こちらで主だった操作が紹介されていますので参照してください。説明された上で実践して初めてわかる操作が非常に多いのです。

一方で、iPhone 8/8 Plusも主に、深刻な品質問題を抱えていました。特に、iPhone 8 Plusで顕著にみられた現象で、使い始めてから少しも経っていないのにバッテリーパックが膨らみ、画面が装着されたフロントパネルが開いてしまう現象が多発してしまいました。中には買ったその地点で既に膨らんでいたケースもあり、非常にクリティカルな欠陥といえるものでした。そのため、一時ははまぐりスマホと皮肉られていたほどでした。

このようにイノベーションに固執するあまり、iPhone Xは非常に使いづらい端末になってしまったうえ、どのバリエーションも10万円以上という高嶺の花になってしまいました。これによって生じた問題として、分割払いで機種変更しようとしても精密審査で一括払いでの端末代金の清算を求められ、懐具合から敢え無く機種変更を断念した契約者が相次いだことでした。実際、お膝元の北米でもその高さから経済アナリストの評価はかなり辛辣で、本当に買うべきなのか疑念を抱くメディアも少なくありませんでした。iPhone 8/8 Plusもまた、高い価格の割に安作りの目立つ端末でした。iPhone 7で廃止されたヘッドホン端子もとうとう復活することがなく、まさに改善すべき点を放棄したまま斜め上に進化してしまったのが悔やまれます…。

以下は言わずにいられないと思いながらもオブラートにくるんできていましたが、敢えて話したいと思います。

Appleは数多のイノベーションを生むために数多の犠牲を払っています。一時はiPhone特需に沸いていた日本の部品サプライヤーも今や、Appleの経営方針に疑念を抱き部品供給から引き揚げる向きにあります。基幹技術に携わるメーカーであっても容赦なく足を切ってしまう悪態まで働いており、前述のPowerVRのライセンシー、Imagination TechnologiesですらAppleが自社開発GPUを開発する方針に転換したあおりでAppleから切られてしまった企業の1つです。その影響で同社の株価が暴落するなど、切られたサプライヤーに待ち受けているのは地獄そのものです。故に、地獄に堕ちる前に部品供給を引き上げたサプライヤーは賢明な判断をしたといえるでしょう。

極めつけは製造現場。明らかに明るい話題が少なく、製造を受託しているEMS業者の従業員の自殺が今なお相次いでいます。どうも劣悪な労働環境のようで、しかもそれをAppleがEMS業者に強いているらしく、余計タチが悪いです。このような体たらくですので、Appleはクソケータイメーカー・オブ・ザ・イヤー2017にふさわしいといえるでしょう。ある意味日本のそれよりもタチの悪いブラック企業です。こういう事実を包み隠しながらiPhone Xの提灯記事ばかり展開するマスメディアや大手ITメディアにも筆者はかなり辟易されました。これではまるでiPhone翼賛会です。

では、追記にて幸いにも(?)次点とどまりになった端末を紹介します。

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2017年12月27日 (水)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2017

さあ、本日、2017年12月27日正午に投票を締め切った本家大元に先立ち、筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2017を選出したいと思います。今年はこの機種がその栄冠に輝きました!

■大賞
AQUOS R SH-03J/SHV39/604SH
(シャープ株式会社)
―THE FLAGSHIP SMARTPHONE OF JAPAN
"かくて、日本勢もスマートフォンの将来を捉えた。"

Shv39

[画像はSHV39]

AQUOS sense SH-01K/SHV40
AQUOS sense lite SH-M05
(シャープ株式会社)
―ミドルレンジなのに長く使えそうな欲張りスペック!

Sh01k

[画像はSH-01K]

今回、大賞に輝いたのはシャープのハイエンドスマートフォン、AQUOS Rの3機種とミドルレンジスマートフォン、AQUOS senseシリーズでした! シャープとしては2年連続の大賞受賞になります。おめでとうございます!

[選評]
鴻海資本のもとで事業撤退をほとんどすることなく未曾有の経営危機から立ち直ったシャープ。いよいよ今年から、鴻海傘下としてスマートフォン開発の仕切り直しを図らんとしました。その手始めとして発表したのが、今回大賞に輝いたこのAQUOS Rでした。AQUOS ZETA/SERIE/Xxシリーズと各社でバラバラになっていたフラッグシップ機の一本化を狙って開発された端末です。

元々シャープはキャリアごとにラインが分かれていた非効率な端末開発方針でしたが、2015年秋冬モデルから徐々に基本設計を一本化してきていました。2016年夏に発売したフラッグシップ機ではキャリアモデルごとの差異がかなり少なくなっています。AQUOS Rのスタイリングは、このAQUOS ZETA SH-04H、AQUOS Xx3 506SH、AQUOS SERIE SHV34を継承しつつ、更に丸みを帯びたものになっていました。具体的に言うと、2016年度のフラッグシップモデルで目立った角が取れて柔和なラインを描いています。

AQUOS Rの「R」には以下の意味が込められています(参照)。

Reality…臨場感のある映像美
Response…なめらかで俊敏なレスポンス
Reliability…長く使える信頼性
Robotics…人工知能が賢くサポート

SoCとして採用されたのはクアルコムのSnapdragon 835 MSM8998です。Snapdragon 835はKryo 280をアーキテクチャーとしていますが、その実態はARM Cortex-A73をクアルコムが最適化したものでした。2.45GHz×8コアという凄まじく高性能なCPUを搭載していますが、この機種では約1割クロックダウンしたうえで2.27GHz×4コア+1.90GHz×4コアの2クラスターによる疑似big.LITTLE処理としていました。インテルに先んじて、最先端の10nmプロセスを採用しています。元々、Snapdragon 835は実用する上でほとんど発熱しない優秀なSoCでしたが、AQUOS Rでは本体シャーシや各種センサーを通して熱ダレによるパフォーマンス低下を防ぐ温度管理システムを具備していました。

RAMは4GBのDDR4 SDRAM、本体ストレージは今までのembedded MMCから一転、これから普及が期待されている64GBのUFSと、いずれもAQUOS史上初搭載になりました。ディスプレイはシャープのお家芸である5.3型IGZO液晶クアッドHD解像度(2,560×1,440pixel)を誇り、フロントカメラもSelfieが綺麗に撮れ4K動画にも対応した16メガピクセル、リアカメラは様々なモード撮影や4K動画撮影に対応し、光学式手ブレ補正にも対応した23メガピクセルカメラとなっていました。USB端子もmicroUSB-BからUSB 3.1 Gen1 Type-Cとなり、高速なバス速度と充電を実現していました。

ここまで説明すると普通のスマートフォンと一緒ですが、シャープは日本メーカーでいち早くAndroid端末を手掛けていたこともあって、技術の積み重ねがかなり豊富でした。そのため、様々な気配りのきいた機能や自社技術が活かせる独自機能を実装していました。特に、液晶のシャープと呼ばれているだけあってディスプレイへのこだわりは尋常ではありませんでした。スクロールしても残像が出ないハイスピードIGZOや、4Kテレビの技術で培ったHDR表示にも対応していました。2016年度のフラッグシップ機ではSHV34を除き本体横にあった指紋センサーも、画面下に移動しました。

また、エモパー[emopa]というAIテクノロジーを活用したアシスタント機能を本体に搭載していました。これはAQUOS ZETA SH-01Gなどで先行して対応したもので、以前は端末スペックの関係で処理が追い付かないことも多々ありました。しかし、それも度重なるアップデートや端末スペック向上で最近になって実用に堪えうるものになっていきました。

Aquos_r_roboqul

この機種ではエモパーを積極的に活用してもらう狙いにより、au版とソフトバンク版に限りロボクル[ROBOQUL]と呼ばれる充電台が付属しており、これにセットすることで手を触れずに情報を目にできるよう自動的に顔を検知して端末が回転するといった機能も具備していました。ドコモ版や後に発売された対応機種では付属していませんでしたが、家電店ルートで市販されたことにより、別途手に入れることで対応機種でもエモパーのさらなる機能拡張ができるようになっていました。

筆者もAQUOS Rの設計思想に大変共感した1人です。特に、下馬評では供給に不利とされていたSnapdragon 835の調達に成功したことに驚き、鴻海傘下になったことでEMS業者ならではの品質改善のノウハウ導入、当面の間OSバージョンアップやセキュリティパッチ配布が約束されるなど、安心して使える設計であることがメーカーからの発表でうかがえたのです。実際、筆者にとってもAQUOS SERIE SHI16(ISW16SH)以来となるシャープ機導入を後押しすることになった1台でした。決してベゼルレス設計などの時代の潮流に便乗していなかったものの、その分手堅い設計により非常に使いやすかった端末です。間違いなく、筆者の今年のベストバイガジェットといえる1台でした。

Android 8.0バージョンアップがキャリア端末としてはいの一番で配信されたこと、特にその一番乗りが大方の予想を裏切りau向け端末のSHV39だったことがいい意味で我々の期待を裏切ってくれました。悪い意味で裏切られてしまったISW16SHの時代があったのが信じられないほどです。その後、順当にドコモ向けのSH-03J、ソフトバンク向けの604SHとOSバージョンアップが配信されていました。

Shm05

[画像はSIMフリー版、SH-M05]

一方で、この頃電器店で注目の的になっているAQUOS senseシリーズも忘れてはなりません。ミドルレンジモデルなのに5.0型フルハイビジョンIGZO液晶搭載、カメラも実用やSelfieに堪えうるフロント5メガピクセル、リア13メガピクセル、モデルグレードの割に容量が大きめのRAM3GB、ROM32GBと、この層の割には欲張りなスペックでした。SoCはSnapdragon 430 MSM8937(Cortex-A53 1.40GHz×4コア+1.10GHz×4コア)とそこそこのスペックにとどまっていますが、実態としてはSnapdragon 617 MSM8952に近いスペックでした。

このAQUOS senseはシャープ発売のAndroid Oneシリーズの設計思想を継承しつつ、AQUOS Rシリーズに匹敵する機能を実現しようとした努力の賜物でした。こちらもやはり、OSバージョンアップや定期的なセキュリティアップデートがメーカーによって保証されています。NTTドコモではdocomo withシリーズとしてサブ端末需要を狙っていましたし、ユーザーの要望にこたえる形でSIMフリーモデルも販売されました。価格、機能、スペックのバランスがとれていることから、これからSIMフリースマートフォンが欲しい方へ、いの一番でお勧めしたい端末といえます。年明けにはソフトバンク版も発売されるため、尚更お勧めしたくなること請け合いです。

現在、日本市場ではiPhoneがやや優勢ということもあり、Android陣営は全体的に不利に立たされています。その中で、シャープはいかにユーザーから飽きられず、心変わりさせない端末を作っていたのかがうかがえます。機能、スペックの双方で飽きずに使える設計を心掛けていたことがシャープ機のこの2台をケータイ・オブ・ザ・イヤー2017に選出する決め手となりました。

このような努力を怠らなかったシャープ株式会社こそ、まさにケータイメーカー・オブ・ザ・イヤー2017にふさわしいといえるでしょう。追記にて、惜しくも次点入りにとどまった端末を紹介します。

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2017年12月22日 (金)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2017 [はじめに]

年末恒例のこの企画、実は筆者のblogの中でも特にアクセス数が高いトピックとなっています。今年も本家大元に便乗して選出してみたいと思います。まずは、今年の傾向について考察してみたいと思います。

■Androidでも10万超え! 高額端末の増加
日進月歩で高機能化するスマートフォン。とうとう、その影響が本体価格にも波及してしまいました。なんと10万円を超えた高額端末がAndroidでも登場することになってしまいました。フラッグシップ機の平均本体価格が8-9万円であることを考慮すると、非常に高いと感じること必至でしょう。

既にiPhoneファミリーではストレージ容量や画面サイズにより10万オーバーの端末が増えてきています。iPhone 6s/6s Plusの頃から顕在化してきました。iPhone 7/7 Plusでは歩留まりの悪いジェットブラック登場の煽りで更に10万越えのバリエーションが増え、iPhone 8/8 Plusでは10万以内の端末はiPhone 8の64GBモデルのみとなってしまいました。もちろん、iPhone Xは全バリエーションとも10万円オーバーです。

これがどう影響するのかといいますと、割賦斡旋契約を組む際の審査が精密化します。つまり、ジャックスオリコセディナなどがやっているショッピングローンと実態が同じになっています。審査内容によってはいくら分割払いを望んでも一括払いを求められること必至です。実際、iPhone X発売当時は「審査に落ちて買えなかった」という契約者が相次いだようです。もし、どうしても希望の機種を選ぼうとしても審査に落ちるのが怖いのであれば、次の機種変更に備えて貯金するのも検討していいでしょう。

■進むベゼルレス化

2017年初頭に発表された端末から、本体サイズいっぱいにディスプレイが搭載されているベゼルレス画面のスマートフォンが台頭してきました。本来はシャープが2013-15年発売の端末でEDGEST(エッジスト)デザインとして取り組んでいたことですが、当時未熟だった64bitアーキテクチャーの見直しでいったん白紙化され、改めて業界の潮流となったものです。その間に様々なブレークスルーが生じました。

まずは量産効果で有機ELの生産コストが下がったこと。次期iPhoneで有機ELが採用されるとの噂から(実際にiPhone Xとして搭載が実現)、これを搭載するメーカーが増えてきたことも後押ししていました。有機ELディスプレイは薄く縁が狭いためベゼルレス画面を実現しているのに向いているとされていました。また、曲げにも強く、後述する設計にも順応しやすかったのも事実です。iPhone XのほかにはLGのV30などが有機ELでベゼルレス画面を実現した有名な端末になるでしょう。

そして2.5Dガラスの一般化と3Dガラス採用機種の台頭。2.5Dガラスは曲面加工を施したシートガラスのことで、表面に丸みを持たせ、シームレスまたはなめらかなデザインを実現できます。そして重要なのが3Dガラス。これは完全にガラス素材そのものを曲げたもので、曲面ガラスとも呼ばれています。特に有名な採用例はサムスン電子のGalaxy SシリーズGalaxy Noteシリーズになります。サムスン電子はスマートフォン用有機ELディスプレイで世界最大手ですが、元々有機ELだから実現できるとして始めた曲面ディスプレイ、Edge Displayの技術が形を変えて、ベゼルレス画面の実現に一躍買ったようです。

一方で液晶ディスプレイでベゼルレス設計を目指したメーカーとしてはシャープが有名です。2017年12月22日発売のAQUOS R Compact SHV41/701SHには同社がかつて展開していたEDGESTデザインが活用されており、主に上部ギリギリに画面が収まっているというユニークなデザインになっています。「液晶のシャープ」の意地や面目躍如といったところでしょうか。実は、Android生みの親が開発したEssential Phoneも液晶でベゼルレス化を目指した機種でした。

このベゼルレス画面ですが、日本ではやや否寄りの評判になってしまっています。主に誤操作や使いにくさを嫌気する向きにあるようです。機種によっては画面がいびつになってしまうこともあり、それもしばしば批判のやり玉に挙げられることも…。果たして、日本市場ではその後のスマートフォンの変化に順応できるユーザーが増えていくのでしょうか?

■MNOとの共食いと淘汰が進むMVNO
FREETELを運営するプラスワン・マーケティング株式会社が回線事業をRakuten Mobileへ譲渡し、端末メーカーとして生き残りを図らんとすとの報道がモバイルファンから大きな衝撃を以て迎えられました。ここから浮き彫りになってきたのがMVNOとしての見通し、戦略、通信品質に対する認識の違いでした。FREETELはMVNOであると同時に端末ブランドでもあります。端末メーカーとしては後述します。

現在営業中のMVNOのほとんどは株式会社NTTドコモから回線を借りて運営しています。一方で、今年にわかに注目を集めたのがKDDI株式会社やソフトバンク株式会社から回線を借りて営業しているMVNOでした。ドコモ系回線を用いるMVNOは一部を除いて、通信速度の遅さから嫌気され始めた格好です。

中でも、KDDIの関連会社としてau回線を用いたMVNO事業を展開しているUQコミュニケーションズ株式会社が非常に速いと評判になっています。au系のMVNOは少ないですが、その代わりに積極的な広告戦略が特徴的です。株式会社ケイ・オプティコムが展開しているmineo(マイネオ)もまた、au系メインのMVNOとして有名です。UQは全国でモバイルWiMAXを展開していますし、ケイ・オプティコムはeo(イオ)のブランド名で光回線を提供しており、関西ではフレッツをしのぐトップシェアを誇っています。このように、本業の片手間でMVNO事業を展開している業者が制する構図となってきました。それに該当するMVNOはほとんどがISP系またはネットサービス大手です。

一方、厳密にはMVNOといえないものの、MNOのサブブランドという微妙な立ち位置にいるY!mobileも善戦しているようですが、その一方で大元のソフトバンク回線の大量解約が目立ちます。これは従来のようにモジュール契約という名の水増し契約ができなくなったこと、そのモジュール契約の大量解約が目立ったこと、そして看板ともいえる存在だった孫正義氏が第一線から退いたことやキャリアとしての優位点を失ったためY!mobileや他社への流出が目立ったことがあげられます。この頃はUQやmineoとauの関係がそれに似てきています。このように、回線を貸し出すMNOと、それを借り受けてサービスを提供するMVNOとの間で共食い合戦が始まっているようです。

依然として進まないのが決済手段の拡大です。ほとんどのMVNOが決済手段をクレジットカードに限定しています。これは、クレジットカードだけで個人情報の確認が取れることとも大きくかかわりがあるようです。口座振替でも契約できるようになったMVNOがこの頃増えていますが、非常に鈍いペースです。故に、MVNOが未だに「モバイラーが複数台持つ中の副回線」としての地位から脱せていないことがうかがえます。

FREETEL破綻の原因の1つとして、有人店舗の開設などMNOの採る戦略を模倣したことも裏目に出ていたようです。FREETELは半官半民ファンドからも出資を受けて、海外展開をもくろむなど一時は非常に勢いづいていたように見えました。しかしながらこれは本来MVNOが採るべき戦略とは逆行するものでした。UQなど、一部MVNOはコストを切り詰めるべくSIMカードを置いてもらう店舗探しなどといった地道な努力を重ねていました。つまり、SIMカードの購入費が手数料代わりとしてそのままMVNOに入ってくるという塩梅です。本来ならばMVNOはコスト削減のために無店舗でも展開できる業態ですからね…。

■SIMフリー市場の拡大とスペック至上主義の終焉の裏で…

昨年から急激に拡大してきたSIMフリー市場ですが、それに影響するかのようにキャリア端末の中でも売れ筋が移り変わるようになりました。相変わらずハイスペック機を求めるきらいはあるものの、拡大したのはミドルレンジ機のシェアでした。特に、昨年からミドルレンジ機に力を入れてきたシャープの勢いはとどまるところを知りません。国内の大手キャリアの中で前述の「共食い」を唯一起こしていない株式会社NTTドコモも、その動きに非常に敏感でした。

2016年にZTEジャパン株式会社へ開発委託したMONO MO-01Jを発売していましたし、2017年にはdocomo withとして基本料、端末代金ともに格安のプランを用意することになりました。ここでもやはり、用意された端末はミドルレンジばかりで、arrows Be F-05JGalaxy Feel SC-04JAQUOS sense SH-01Kでした。もちろん、MO-01Jの後継機、MONO MO-01Kも対象になっています。中でもAQUOS senseやそれに準ずる端末は非常に人気で、電器店でも注目の的にされているとのことです。

キャリアを通さないSIMフリー端末は大体がDSDS(Dual-SIM & Dual-Standby)対応になってきました。これはMVNOで使われることや、キャリア回線とMVNOをひとまとめにすることが想定されてそうです。品質もキャリア端末のミドルレンジと遜色ないものばかりになってきました。人口10万弱の地方都市にある電器店でもHuaweiやASUS、ALCATEL(TCL)、そしてFREETELなどといったSIMフリー端末がかなり手に入りやすくなってきたと感じます。

一方で、SIMフリー市場においてはサポートや品質に疑義のある事項も生じました。メーカーにもよりますが、セキュリティパッチやOSバージョンアップに対する認識がまちまちです。中には、メーカー修理やアップデートをめぐり、その対応のまずさから炎上を起こしたメーカーまでありました。最悪のケースとして品質問題に発展したメーカーもあり、多くのモバイラーから期待されながらもスマートフォンのバッテリー発火問題のみならず、他の分野でスペック詐称問題を起こした結果信用が失墜したUPQ、スペック相応の品質や安定性を確保できなかったFREETELが引き合いに出されています。

特にUPQはせっかくの第2弾モデルになるはずだったUPQ Phone A02の発売中止のみならず、提携先から見放され新商品を出す余裕すらなくなるなど、自業自得としか言いようのない惨状に発展してしまいました。FREETELはMADE BY JAPANを掲げながらも実態は中華スマホそのものでまさに羊頭狗肉の極まり。MVNOと端末メーカーの両立はかなり難しかったようで、12月に入り民事再生法を適用し、倒産してしまいました。

■やっとAndroidファンに安堵の色
今まで、キャリア端末向けのOSバージョンアップは1度きりか全くない状況が長らく続いていましたが、これは過去の話。長らくキャリアにより蹂躙されつくしたAndroidユーザーが安心してスマートフォンを継続利用できるようになりました。2015年夏モデル以降、2度目のバージョンアップを受けられる機種が多くなってきたようです。一般的に2015年度モデルはAndroid 7.0まで、2016年度モデルはAndroid 8.0までのバージョンアップが保証される打算となりました。

また、キャリア端末ながら迅速にAndroid 8.0へのバージョンアップが提供された端末もあります。かつてはバージョンアップ提供まで生産開始から1年弱待たなければならなかった端末ですら、その半分ほどにラグが縮まりました。キャリア各社でOSバージョンアップ提供時期がバラバラだったり、そもそも提供すらされなかった状況もだいぶ改善の兆しがみられています。

その背景に、キャリアのみならず、端末メーカーもGoogleのパートナーに指定されたことが挙げられるでしょうか。あまり目立っていませんが、Android 8.0の目玉機能の1つにProject Trebleが挙げられます。これは、Android OSとメーカー別のファームウェアが別個にアップデートできるというもので、OSバージョンアップのサイクルを早められると同時に、同じ設計なのにキャリア間でOSバージョンのフラグメント化が防げるという利点もあります(参考)。

一方で、日本市場ではPixelシリーズの発売は結局見送られました。Pixelシリーズの前身、Nexusシリーズの販売実績が凄惨たるものだったうえ、販売キャリア(特にソフトバンク)からもぞんざいに扱われていたあたりGoogle側が察していたのでしょうか。一方で、Project Trebleの存在により、パートナーメーカーの端末を持っていれば最新OSにより早く触れられることになりそうです。Pixelシリーズの市場投入がしばらく見送られた日本では、パートナーメーカーの端末がそれに準ずる扱いとなるようです。

因みに、パートナーメーカーに指定されたのは11社で、その中にAndroid 8.0の開発に深く関与したソニーモバイル、Android Oneの販売実績のあるシャープ、京セラ、HTC、そしてLGやサムスン、Huaweiなどの日本市場でも存在感を放つメーカーがあります。なんとかXperia Z5系のAndroid 6.0バージョンアップのようなウルトラC、実現するといいですね。

■今後の予定
今回はちょっと忙しなくなりそうです。本家大元に合わせて、以下の予定で発表します。

・筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2017
本家大元の投票締切日、2017年12月27日発表

・筆者の選ぶクソケータイ・オブ・ザ・イヤー2017
本家大元の結果発表日、2017年12月28日発表


いつものように大賞および次点を選評とともに発表します。今回はケータイメーカー・オブ・ザ・イヤーとクソケータイメーカー・オブ・ザ・イヤーも併せて発表したいと思います。乞うご期待!

2016年12月29日 (木)

筆者の選ぶクソケータイ・オブ・ザ・イヤー2016

2016年12月28日、本家大元から読者が選ぶケータイ of the Year 2016が発表されました。今年は4年ぶりにAndroid端末としてXperia XZ SO-01J/SOV34/601SOがキャリア端末部門のトップに輝きました。

Xperia_xz


インプレスによればAndroidが成熟の域に達したことを伺わせる端末であると評されています。クアルコム独自開発に戻った64bitのマイクロアーキテクチャーKryo(クライオ)採用のヘテロジニアスクアッドコアチップ、Snapdragon 820 MSM8996(2.15GHz×2+1.60GHz×2、Adreno 530)によりハイエンド機らしい良好なユーザーエクスペリエンスの提供を実現しています。そのほか、複数のセンサーを併せてより高速なピント合わせを実現したカメラ、放熱プレートも兼ねた新素材のバックパネル、これからの業界標準I/OとなるUSB Type-Cに対応する一方で充電制御を工夫することでバッテリーに優しい充電を実現するなど、ハイエンドスマートフォンならではのこだわりが詰まった1台でした。実のところ、筆者も年明け後にこの機種への変更を予定しています。Xperia X Performanceが想像よりも良かっただけに、実機を手にするのが楽しみです。

いよいよ、2016年に発表された中で最もイマイチだったスマートフォンを発表したいと思います。これまでの傾向を振り返ってみると、こんな感じでした。

・使うのも苦行なのにアップデートする度に充電が必須でなおかつ最長2時間も使えなくなる機種
・理想ばかり突き詰めてスマートフォンの基礎がガタガタになってしまい、最終的にメーカーを自滅に追いやりガラホ開発への望みを潰してしまった機種
・国産LTEモデム計画の挫折とともに儚く散った機種
・単体で安く売れたはずなのにゴミスペックのワイヤレススピーカーとの抱き合わせ販売で高額端末と化したミドルレンジ機
・普及する見込みがないのにGeek向けと銘打って、一般受けしないスペックと戦略をとったことで不興を買ったFirefox OS機

筆者の選ぶクソケータイ・オブ・ザ・イヤー2015の不名誉に輝いてしまったFx0 LGL25は今、大変カオスなことになっています。なんとSIMロックを解除され、海外へ転売されてしまっています! (参考記事) 実際に、参考記事ではカスタムROMを焼いてAndroid端末として運用してみた結果も掲載されています。関心のある方はぜひご覧ください。本来はグレーゾーンの運用法ですが、これによってAndroid端末として延命を図ることもできます。もちろん、公式サイトは放置プレイ状態で、ハッカソンも打ち切りエンドです。

さて、2016年に発表された中で最も不名誉な称号を得ることになってしまうスマートフォンは一体どれでしょうか? 発表はこの木なんの木の後すぐ…ではなく、続きをご覧ください。

※あくまでも2016年に発表された端末の中で最もイマイチなだけで、問題なく使えたり何らかの工夫があれば快適に使えるようになりますのでご安心ください。

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2016年12月26日 (月)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2016

いよいよ、本家大元に先立ち筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2016を発表したいと思います。その前に、これまでのケータイ・オブ・ザ・イヤーに輝いた端末について振り返ってみたいと思います。

■2010年
フィーチャーフォン部門: F-01C/SH006
スマートフォン部門: Xperia X10 SO-01B

F-01C、SH006ともにフィーチャーフォンの限界に挑戦した全部入り機種だったことを、Xperia X10は今までiPhone一色だったスマートフォン市場へ風穴を開けた点を評価した。また、Xperia X10はOSバージョンアップが提供され、多くのユーザーに「進化する喜び」をもたらしてくれた。

■2011年: Xperia arc SO-01C
Xperia X10から順当に進化しAndroid 2.3を国内発売機種で初搭載したこと、(当時の地点で)過剰スペックにならないよう機能バージョンアップを怠らなかったこと、後のXperia acro SO-02C/SOI11と比較して当時は三種の神器と呼ばれた国内向け機能を省いたことでスタイリッシュなデザインを実現したことが決め手になった。

■2012年: LG Optimus G L-01E/LGL21
日本で発売されたスマートフォンとしてクアッドコアSnapdragon S4 Pro APQ8064を初搭載したことによる。クアッドコアチップが初搭載されたarrows X F-10D/arrows Z FJI13はTegra 3の異常過熱により評判を落としたため、これが日本向けに発売された端末で初めて快適に使えるクアッドコア機となった。これ以降、ハイエンド機はクアッドコア以上が当たり前となった。

■2013年: Xperia A SO-04E/Xperia UL SOL22
どちらもiPhone以外では当時のドコモとauの夏商戦を制した端末。Xperia Z SO-02Eが「理想」の塊ならば、Xperia A/ULはそれを現実的な形で昇華したものだった。特にXperia Aはドコモのツートップに選ばれ、Androidスマートフォンで珍しくミリオンセラーを記録した端末だった。なお、Xperiaシリーズはこの2機種を最後に電池着脱型端末の開発をやめた。正統なXperia Zの後継機、Xperia Z1 SO-01F/SOL23にはこれら2機種の開発経験も活かされていた。

■2014年: Xperia Z3 SO-01G/SOL26/401SO
Xperia Zシリーズ第1の集大成。デザイン面でも性能面でもこの1年半で大きく進化を遂げ、誰でも扱いやすくなった。Xperia A4 SO-04Gを別とすれば、新規開発されたXperia Zシリーズ最後の32bit機でもあった。今なお高い動作の安定性から根強いファンが多く、白ロム市場ではプレミアが付いている。但し…返す返すキャリアごとにOSバージョンのフラグメント化を起こしてしまったことが悔やまれる。ドコモ向けのみAndroid 6.0.1までバージョンアップされたが、それ以外はAndroid 5.0.2とどまりになってしまった。

■2015年: Google Nexus 5X

日本で初めてAndroid 6.0をインストールした状態で出荷された端末。Nexusスマホは常に最先端のAndroid OSに触れられることが売りだが、それ以上に生体認証機能(指紋認証)、USB Type-C端子など、今後のスマートフォンに搭載されるべき機能を示してくれた重要なマイルストーンでもあった。ドコモも取り扱うことになったため、今まで冷遇されてきたキャリア端末のOSバージョンアップも捗ることになった。

では、筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2016の栄冠に輝く機種は一体どれでしょう? 発表したいと思います!

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2016年12月21日 (水)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2016 [はじめに]

毎年恒例の、独断と偏見(?)に基づく筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤーを選出する時期が迫ってきました。本家大元であるインプレスでは2016年12月20日から投票を開始しました。締め切りは26日正午とのことです。

[2016.12.29更新]
各端末の選出が完了しました。詳しくは下記リンクを参照してください。

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2016

筆者の選ぶクソケータイ・オブ・ザ・イヤー2016

まずは今年の傾向と動向を振り返ってみることにしましょう。

■ありがとうさようなら、携帯?
多くの契約者がショックを受けたであろう動向はこれでしょう。最大手の株式会社NTTドコモがフィーチャーフォンの販売を一部機種を除き、2016年いっぱいで終了することになりました。これにより、iモード対応端末としての最終機種はP-01Hとなりました。今後も出荷販売が継続される端末はらくらくホン ベーシック4 F-01Gのみとなります。また、日本電気株式会社はN-01Gを売り切った地点でアフターサービスを除いた携帯電話端末事業から完全撤退するため、本当の意味でNのケータイ」の暖簾を下ろすことになります。

キャリアがスマートフォンの拡販に力を入れてきた2011年頃から、各社ともフィーチャーフォンの開発体制を緊縮しています。そのため、全部入り携帯はこの年を境に各キャリアから姿を消すこととなりました。その後のフィーチャーフォンは今までの積み重ねを基に、贅肉をそぎ落としながら実用に徹する方向へ向かっていきました。そのため、末期のフィーチャーフォンはスペック、機能ともに2009年に発売された端末とほぼ同等になっていました。

現在、フィーチャーフォン、所謂ガラケーを取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。ソフトウェアは既に開発元がサポートを放棄しているし、Webコンテンツサービスの配信に関わるSHA-1問題が迫っているし、SoCなどデバイスも十分に枯れまくっていてディスコン化しており、保守在庫で賄っている状況です。

また、KDDI株式会社(au)にとっては成長を支えた一方でメーカー新規参入を阻む柵と化しているジレンマを抱えていたCDMA2000方式による3G網のサービス終了が急務となっていました。そのために、2014年秋冬モデルから常にLTEへつながるVoLTE回線の提供を開始、2015年春モデルを以てCDMA2000網の音声網への対応を打ち切る…という具合に他社との敷居を狭め、2015年夏モデルで遂にSIMロック解除に対応できるようになり、これでようやく他社と同じスタートラインに立てるようになりました。その過程で、auはフィーチャーフォンと同じ感覚で使える折りたたみ型スマートフォン、所謂ガラホを実用化していました。ガラホの先駆者、auは昨年発売のGRATINA2 KYY10を以てフィーチャーフォンの開発を終了しています。

ガラホ第1号だったAQUOS K SHF31は試作品というのがおこがましいほど高すぎる完成度を誇っており、VoLTEに対応していないこと以外は文句のつけようのないものでした。特に、ガラケーユーザーから熱望されていたしっかり撮れるカメラやおサイフケータイへの対応を第1号機の段階で実現していたことが歓迎されていました。また、ガラケーと同じ料金体系で利用可能なため、維持費の安さも魅力となっていました。

昨年はドコモやソフトバンク、Y!mobileもガラホを試験的に投入していましたが、ソフトバンクでは一部機種がUMTS専用だったことや頑としておサイフケータイに対応しないことが、ドコモでは同じくUMTS専用だったことに加え全体的に低スペックにとどまっていたことが不興を買っていました。但し、いずれも維持費の面ではauを見習ってガラケー同等のプランを設けたようです。

その反省から、特にドコモが重い腰を上げてガラホの開発をメーカーに命じ、対応が渇望されてきた高画素カメラやVoLTE、おサイフケータイを搭載した機種を発表します。らくらくホン F-02Jもガラホ化され、順当に時代に合わせた変化を遂げていきました。それでも大竹しのぶのまま不変のイメージキャラクターが、らくらくホンの哲学を示してくれています。

パナソニックはSIMフリー市場や法人市場においてAndroid端末の供給を継続していたことが幸いし、P-smartケータイ P-01Jにて実に3年ぶりとなるキャリア向けAndroid端末市場への復活を果たしました。NECはMEDIASの商業的失敗からAndroid端末の開発中止を発表したのですが、これによってNのケータイ復活の願いが潰えてしまったのがなんともやるせないものです。

今年に入ってからコンテンツ業者のガラケーからの引き揚げが加速しており、auでは2018年3月末でEZアプリの配信を終了を予定、一時代を築いた着うた(フル)もまた、その先駆者であるレコチョクが2016年12月15日を以てガラケー向けの配信を終了するなど、時代の変化を感じさせる動向が見られました。特にauは政策的にCDMA2000を廃止させたいとの意向が強く、キャリアぐるみでスマホやガラホへのシフトを進めています。

■MVNOユーザーとともに増えたものとは?
既にISP(インターネットサービスプロバイダー)とともに群雄割拠の時代になりつつある格安SIMことMVNO(仮想移動体通信事業者)。独立系MVNOはもちろん、存在基盤がISPだったり、コンテンツサービスだったり、ポータルサイトだったりと十人十色です。特に今年は、LINE株式会社がMVNOへ参入することが大きく話題になりました。

既に、契約数で全体の1割弱を占めるに至り、とにかく安くスマートフォンを使いたい方々から重宝されています。まだまだカード払いが主で、クレジットカードを組めないか持っていない人にとっては加入するうえで敷居がとても高いですが、近年はプリペイド型や口座振替での支払いを可能にするMVNOも増えており、徐々に現金派にとっての敷居が下がりつつあります。

MVNOの多くはNTTドコモの回線を使用しており、その点ではドコモ向けスマートフォンユーザーにおける敷居が低いといえます。一方、徐々に増えてきているのがau回線を使ったMVNOです。今まで、auのネットワークを用いたMVNOに参入するには前述したCDMA2000の問題もあり非常に敷居が高かったですが、VoLTE回線の導入やSIMロック解除義務化などでかつてと比べてだいぶ参入業者が増えてきました。一方で、ソフトバンク回線を使用して参入するMVNOがなかなか現れていないことに筆者は懸念を抱いています。

さて…MVNO契約数が増えるにつれ増えてきたものがあります。それは苦情。契約者からは主に通信品質の悪さを訴える声が挙がっていますが、業者によって対応はまちまち。紳士的な対応をしてくれるMVNOもある一方で、苦情への対応で炎上を招いてしまったMVNOもあるくらいです。また、MVNO使用時も実はキャリア表示は「NTT DOCOMO」、「KDDI(またはau)」と表示されるので、勘違いしてキャリアショップに駆け込みクレーマーと化してしまうとんでもない利用者まで相次いでいます。

さて、MVNOの中には後述するSIMフリー端末まで用意している業者も存在しており、既存キャリア同然のビジネスモデルを採用しています。その最たるはFREETELだったり、Rakuten Mobileだったりします。特に前者はかつてより独自企画端末を強みとしていますし、後者はHuaweiやASUSなどと組むことでSIMフリー市場をけん引する存在となっています。果たして、MVNOはどのような進化を遂げるのか、楽しみではあります。

■脱・格安 - 流転するSIMフリー市場
今まで格安スマホの謗りを受けていたSIMフリー端末ももはや、「格安」と呼ぶのがおこがましくなるほどになりました。今までこの市場は中国勢が圧倒していましたが、品質とサポート体制を武器に、徐々に日本勢が幅を利かせています。具体的にいえば、市場競争で生き残れたシャープ、富士通、京セラの3社でしょうか。パナソニックも一応、法人市場にてSIMフリー端末を販売していましたが、Let's noteやTOUGHBOOK、TOUGHPADの発売元らしく堅牢な設計に惹かれエンスーが所有していた程度にとどまっていましたがね…。

今までは安さが武器だったSIMフリー端末ですが、今ならキャリア向けでは到底納入を認められないような設計の端末や、キャリア市場の片手間で展開する、といった塩梅でしょう。キャリア向けで納入を認められない設計といえば、キャリア回線と現地で購入したプリペイドSIMの両方が使えるデュアルSIM端末や、キャリア基準を満たせないようなメーカー(MediaTekなど)のSoCで動作する機種などでしょう。一方、日本勢は実際にキャリア向けに納入した端末の姉妹機を展開している、という具合です。日本勢が苦境に陥った2013年頃から既に、シャープや富士通はこの手段でSIMフリースマートフォンを展開していました。

中でも異彩を放っているのがHuawei製端末。やたらとコストパフォーマンスが高いのです。実は、Huaweiはグループ企業としてSoC開発子会社、HiSiliconを擁しており、そこで開発されたKirinシリーズを主に搭載しています。その技術力や開発力を買われ、日本の大手キャリアからもモバイルルーターやタブレットの納入を要請されているぐらいです。歴史的経緯から、Y!mobileユーザーにとってはなじみ深いメーカーではないでしょうか。というわけで、今後は無難なハイエンド機が主になるキャリア端末と、個性派揃いのSIMフリー端末という具合に棲み分けが進みそうですね。

そのほかにも、実質0円がなくなったことによる買い控えの動きの加速、当局と販売店のいたちごっこが続いた悪質な販売潰しなど、今年は良くも悪くもモバイル業界の転換点となりそうな1年でした。特に、日本におけるAndroid陣営への待遇改善はうれしかったですね。2015年夏モデル以降の機種は一部を除き、ほとんどがMarshmallowことAndroid 6.0を経てNougatことAndroid 7.xへバージョンアップできる見込みになったからです。2年使うにはこうでなきゃならないですね。これまではバージョンアップなしか、あったとしても1度きりって事が多かったんですから…。

さて、ここで2016年に発売された機種をおさらいしてみたいと思います。主にキャリア向けに納入された端末が中心になります。

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2016年3月23日 (水)

そんなサイズで大丈夫か?

日本時間2016年3月22日未明、AppleからiPhone SEが発表されました。日本市場では2016年3月24日に予約受付を開始し、2016年3月31日から発売されます。キャリア版はいつも通りNTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクで発売。それに加えてAppleストア経由でSIMフリーモデルも発売されることになっています。

で、そのデザインですが…

Iphone_se

iPhone 5sそのまんまじゃん!

大方の下馬評ではiPhone 6/6sのような曲面ガラスを採用するデザインになると思われていましたが、実際は見ての通り、5sと全く同じデザインになりました。これに伴い、2年半続いた5sの生産・販売は終了となり、iPhone SEへ引導を渡すことになります。なお、iPhone 5s専用アクセサリーもそのままSEに流用できます。

あまりにも売れず、日本市場でも中古のヌシと化してしまったiPhone 5cの反省は少なからず生かされていると思います。が…、筆者は後述の理由からiPhone SEがiPhone 5cに代わる新たな中古のヌシと化してしまいそうだと懸念を抱いています。iPhoneシリーズは同時期のスマートフォンに比べて下取り相場も高くリセールバリューも高めですからね…。

カラーバリエーションはiPhone 5sの3色にローズゴールド(ピンク)を加えた4色展開。SIMフリー版の現金価格はいずれも税別で16GBモデルが52,800円(税込57,024円)、64GBモデルが64,800円(税込69,984円)となります。キャリア版は(現金価格が)いくらになるのでしょうか…。

iPhone SEを一言でいえば、最新スペックになったiPhone 5sです。但し、iPhone 5sの設計やシャーシを流用しているためなのか、一部機能が5sと共通していたりします。大まかに進化した点は、実はチップセットとカメラ周りぐらいで、それ以外は適材適所の進化にとどまっています。また、通信機能は搭載しているモデムチップの仕様上5sより若干進化が見られる程度で、VoLTEに対応する一方でキャリアアグリゲーション(CA)などを応用したLTE-Advancedには対応していません。細かなところでは、auのWiMAX2+やソフトバンクグループのAXGPにも対応しています。

操作面でもiPhone 6sの特徴だった3D Touchへの対応は割愛されている一方で、これから日本でも展開が予定されているNFC決済サービスの一種、Apple Pay対応のTouch ID(指紋センサー)がホームキーとして搭載されます。チップセットはApple A7+M7からM9統合のApple A9に、カメラが8メガピクセルから12メガピクセルへ進化しています。これに伴い、このサイズのスマートフォンでは珍しく4K動画(3,840×2,160pixel)が撮れるようになりました。画面もiPhone 5sと同じく4.0型Retinaディスプレイで、1,136×640pixelとなっています。この解像度にしてはRAM容量が2GBもあるため、ユーザーエクスペリエンスの面ではiPhone 6s/6s Plusを上回るかもしれません。

Iphone_se_2

iPhone SEを投入するAppleの狙いとしては新興国市場での売上拡大が挙げられていますが、実際には副次的な効果として日本市場で巻き返さんとす下心が見え隠れします。実はノーマルモデルが4.0型から4.7型へ大型化した頃から日本市場では使いづらいとの声が挙がっていました。実のところ、日本のiPhoneユーザーには3.5型または4.0型でなければ欲しがらない保守的なユーザーも少なくないのです。一旦iPhone 6/6sにしたが、やっぱり使いづらく4.0型のiPhoneを切望していたユーザーも少なくないことでしょう。

また、iPhoneはバカ売れしていた当時は円高のあおりを受けていたのですが、円安に突入してしまった今では一部キャリアにて希望するバリアントを選択しても割賦販売法、つまり10万の壁に立ちはだかり審査で落とされて泣く泣くあきらめざるを得なくなる…そんな世知辛い世の中になってしまったのです。一応、ドコモだけ全機種同額に設定して月々サポートを変額させることで、全機種10万の壁をかわせていますが…。

今回の発表会は完全新設計の機種なら盛り上がったでしょうが、見た目はiPhone 5s、中身はiPhone 6sといったスマートフォンや見た目はiPad Air 2、中身はiPad ProのiPad Pro 9.7といったタブレットばかりでは冷や水を浴びせられるのはAppleも判っていたはずです。それを承知で発表したのはやはり、高級路線ではハイコストパフォーマンスを売りにしている中国メーカーにかなわなくなってきて焦燥しきっているからでしょう。それほどAppleは焦りを隠せずにいられなくなっています。

今となってはシャープのAQUOS Compact SH-02Hなど、iPhone SEより一回り大きめで4型台のフルハイビジョン機が手に入ってしまう時代なので、手が小さめなので最近の機種は使いにくいなど、どうしてもこのサイズにこだわりを持つ人でなければお勧めしにくい代物ではあります。本格的に使い倒すのであれば64GBモデル一択になるでしょう。16GBモデルは本格的に使い倒すには不向きで、電話・ネット・メール・ソーシャル中心ならなんとか使えるだろうと思います。

そのため、キャリアにとってはとても扱いにくい案件になるかもしれません。なぜなら、16GBモデルがiPhone 6sとの共食いに発展しかねないためです。64GBモデルもやはり同じことを懸念しています。禁じ手とされる実質0円又は一括0円案件の餌食にされるようでは身も蓋もありません。これでは何のために当局が議論してきたのかが水泡に帰してしまいます。キャリアが販売する際は、ぜひとも適正な価格で取り扱ってもらいたいものです。

今回の発表でAppleはすっかり守りの姿勢に入ってしまったわけで、いつもの攻めのAppleは鳴りをひそめてしまっていました。らしくないですね。一体どうしちゃったのでしょう? 鬼才スティーヴ・ジョブズ氏を失った代償は余りにも大きかったのかもしれません。

[2016.03.23更新]
実は、AppleのiPhone/iPad新機種発表は今回の発表会に付随したもので、実際はAppleの将来のビジョンを明かす発表会となっていました。詳細は以下を参照。

[Impress Watchより]
iPhone SEとiPad Proから見える「アップル40年目の変化」

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