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2017年12月

2017年12月28日 (木)

筆者の選ぶクソケータイ・オブ・ザ・イヤー2017

本家大元から読者が選ぶケータイ of the Year 2017が発表されました。その結果は後ほど明らかにするとして、いよいよ、2017年に発売された中で最もイマイチな端末である筆者の選ぶクソケータイ・オブ・ザ・イヤー2017を発表したいと思います。

※あくまでも2017年に発表された端末の中で最もイマイチなだけで、ユーザーの技量により問題なく使えたり、何らかの工夫があれば快適に使えるようになります。選出されてしまった端末をご利用の方も引き続き、安心して運用してみてください。

■大賞
Apple iPhone X
(Apple Japan合同会社)
―イノベーションのために犠牲にした操作性と普遍性

Iphone_x2_2

Apple iPhone 8/iPhone 8 Plus
(Apple Japan合同会社)
―iPhone Xの前座に終わってしまった、ガッカリ度ではシリーズ史上最悪の機種

Iphone_8_2

2017年に発表された中で最も不名誉な称号を得ることになってしまったスマートフォンはなんと、2年連続で日本における巨人、AppleのiPhoneとなってしまいました。昨年のiPhone SEの評判のよさとは裏腹に、メインストリーム端末がご覧の有り様とは嘆かわしい限りです。それでもこれしか選ばないユーザー層も相当大概にしてほしいものです。

[選評]
今年はiPhoneが誕生して10周年の節目にあたります。そんな中で発売された機種群がシリーズ史上最悪の機種になるとは誰も予想だにできなかったことでしょう。そのいずれも理由は異なるものの、ため息が漏れるほどのガッカリ度です。

まず、iPhone 8/8 PlusはAppleがかつてほどイノベーティヴなブランドでなくなったことの証左です。むしろ、この機種を出したことでAppleは「攻め」から「守り」に態勢を変えてしまっています。スペック上もSoCやモデムが変わったこと以外はiPhone 7/7 Plusとほとんど同じです。よって、iPhone 8/8 Plusはジェネリックな端末と化し、今までのiPhoneと同じスタイルの端末を求める方々のためだけに存在しているといっても過言ではありません。どストライクにいえば、日本の中高生やF1層を狙った端末です。

ここからが本題です。iPhone 8/8 Plusを売れなくした主犯、iPhone Xです。日本では2017年11月3日に発売され、ちょっとした社会現象になりました。そうです、日本市場ではかつて発売された端末(主に日本メーカー製)への心象の悪さから未だにAndroidへとんぼ返りできていない人がおり、最終的にiPhoneへ固定化されてしまった契約者が多いのです。実際は、心変わりしてAndroidへとんぼ返りした方々からは、Androidがおおむね好意的に見られているようですけどねえ…。

そのため、先進諸国では圧倒的にAndroidが高いシェアを誇っているのに対し、日本ではiPhoneの一人勝ち状態が長らく続いています。これはかつてのメインフレーム市場で一強を誇ったIBMを喩える際の「白雪姫と七人のこびと」と同じ状態で、日本ではAppleが白雪姫、そしてAndroid陣営が小人というわけです。それゆえ、日本ではiPhoneの新機種が注目を集めることを余儀なくされています。実際、iPhone 8シリーズ、iPhone Xの両方とも発売当日にテレビニュースになったほどです。

iPhone 8/8 Plus/Xともいずれも基本的なスペックは同じです。SoCはApple A11 Bionicへ進化しており、むしろSnapdragon 835 MSM8998を大きく凌駕するスペックになっていました。CPU部はSnapdragon 808 MSM8992のように低負荷処理用のクアッドコアと高負荷処理用のデュアルコアの2クラスターで構成されるbig.LITTLE処理を採用したヘキサコアCPUを採用。GPUは長らく採用してきたPowerVRに代わり、Apple自社設計のトリプルコアGPUとなりました。この頃話題を集めているディープラーニングに対応しており、実際にニューラルエンジンと呼ばれるAI処理回路が搭載されていました。シャープのエモパーがソフトウェアでAIを実現したのと対照的に、AppleはハードウェアでAIを実現しています。RAM容量はiPhone 8が2GB、iPhone 8 Plus/Xが3GBとなっていました。年々カーネルが肥大化していくiOSに対応すべく、ストレージ容量は64GBと256GBの2種類となりました。

Iphone_x

とりわけiPhone Xが注目を集めることになった理由はシリーズ初となったそのベゼルレス設計にあるでしょう。本体サイズいっぱいにディスプレイが搭載されています。とはいえ、それ自体は斬新なものではなく、既にGalaxy S8/S8+LG G6/V30などでも採用されていた設計でした。このベゼルレス設計を実現するため、シリーズで初めて有機ELディスプレイが採用されることになりました。iPhone 8/8 Plus/X発売に合わせて開発されたiOS 11も、本格的にベゼルレス設計を念頭に置いた設計になっていました。このような先進性から、株式会社インプレス主催の読者が選ぶケータイ of the Year 2017のトップに輝いた端末でもありました。

iFixitのレポートによれば、iPhone Xは非常に興味深い設計になっており、マザーボードは多層基板となっているうえに両面にびっしりとデバイスが実装されており、その一部はなんとBGA(はんだボール)により固定されていたそうです。バッテリーも、その多層基板を限られたスペースに収めるべく、スマートフォンとしては珍しく2セルバッテリーを搭載していますが、実態としては並列接続となっていました。iPhone Xのこのような高集積化は今に始まったことでなく、MacBookシリーズの基板小型化のノウハウが活かされているようです。

この設計のためにホームボタンが廃止され、様々な操作は後述するようなハードウェアキーの組み合わせや画面操作で代替されることになりました。つまり、ヘッドホン端子に次いでiPhoneの象徴だったものがまた1つ消え去ったのです。また、ホームキー廃止の影響で指紋認証であるTouch IDも廃止され、その代わりに顔認証によるFace IDが新たな認証システムとして組み込まれました。

iPhone Xは非常に凄まじい設計ではありますが、純粋にスマートフォンとしてみた場合はかなり辛辣な見方しかできません。ベゼルレス設計に挑んだのはいいですが、そのために操作性を犠牲にしてしまっています。本体サイズいっぱいの画面を実現するのは現在の技術では限界があったのか、画面上部のパーツの部分に切り欠きができてしまったかような歪な画面になってしまいました。スクリーンキャプチャーではその部分も補完されますが、結局何も映らないようです。

特にユーザーを困惑させることになってしまったのがその操作方法です。Androidならば画面上に表示するナビゲーションバーがあるためにハードウェアキーを最低限搭載していてもこれらで様々な操作を補完できますが、iOSはその搭載すら念頭に入れていないユーザーインターフェイスだったため尚更問題になったのです。一言では説明しきれない操作が非常に多いので、こちらで主だった操作が紹介されていますので参照してください。説明された上で実践して初めてわかる操作が非常に多いのです。

一方で、iPhone 8/8 Plusも主に、深刻な品質問題を抱えていました。特に、iPhone 8 Plusで顕著にみられた現象で、使い始めてから少しも経っていないのにバッテリーパックが膨らみ、画面が装着されたフロントパネルが開いてしまう現象が多発してしまいました。中には買ったその地点で既に膨らんでいたケースもあり、非常にクリティカルな欠陥といえるものでした。そのため、一時ははまぐりスマホと皮肉られていたほどでした。

このようにイノベーションに固執するあまり、iPhone Xは非常に使いづらい端末になってしまったうえ、どのバリエーションも10万円以上という高嶺の花になってしまいました。これによって生じた問題として、分割払いで機種変更しようとしても精密審査で一括払いでの端末代金の清算を求められ、懐具合から敢え無く機種変更を断念した契約者が相次いだことでした。実際、お膝元の北米でもその高さから経済アナリストの評価はかなり辛辣で、本当に買うべきなのか疑念を抱くメディアも少なくありませんでした。iPhone 8/8 Plusもまた、高い価格の割に安作りの目立つ端末でした。iPhone 7で廃止されたヘッドホン端子もとうとう復活することがなく、まさに改善すべき点を放棄したまま斜め上に進化してしまったのが悔やまれます…。

以下は言わずにいられないと思いながらもオブラートにくるんできていましたが、敢えて話したいと思います。

Appleは数多のイノベーションを生むために数多の犠牲を払っています。一時はiPhone特需に沸いていた日本の部品サプライヤーも今や、Appleの経営方針に疑念を抱き部品供給から引き揚げる向きにあります。基幹技術に携わるメーカーであっても容赦なく足を切ってしまう悪態まで働いており、前述のPowerVRのライセンシー、Imagination TechnologiesですらAppleが自社開発GPUを開発する方針に転換したあおりでAppleから切られてしまった企業の1つです。その影響で同社の株価が暴落するなど、切られたサプライヤーに待ち受けているのは地獄そのものです。故に、地獄に堕ちる前に部品供給を引き上げたサプライヤーは賢明な判断をしたといえるでしょう。

極めつけは製造現場。明らかに明るい話題が少なく、製造を受託しているEMS業者の従業員の自殺が今なお相次いでいます。どうも劣悪な労働環境のようで、しかもそれをAppleがEMS業者に強いているらしく、余計タチが悪いです。このような体たらくですので、Appleはクソケータイメーカー・オブ・ザ・イヤー2017にふさわしいといえるでしょう。ある意味日本のそれよりもタチの悪いブラック企業です。こういう事実を包み隠しながらiPhone Xの提灯記事ばかり展開するマスメディアや大手ITメディアにも筆者はかなり辟易されました。これではまるでiPhone翼賛会です。

では、追記にて幸いにも(?)次点とどまりになった端末を紹介します。

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2017年12月27日 (水)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2017

さあ、本日、2017年12月27日正午に投票を締め切った本家大元に先立ち、筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2017を選出したいと思います。今年はこの機種がその栄冠に輝きました!

■大賞
AQUOS R SH-03J/SHV39/604SH
(シャープ株式会社)
―THE FLAGSHIP SMARTPHONE OF JAPAN
"かくて、日本勢もスマートフォンの将来を捉えた。"

Shv39

[画像はSHV39]

AQUOS sense SH-01K/SHV40
AQUOS sense lite SH-M05
(シャープ株式会社)
―ミドルレンジなのに長く使えそうな欲張りスペック!

Sh01k

[画像はSH-01K]

今回、大賞に輝いたのはシャープのハイエンドスマートフォン、AQUOS Rの3機種とミドルレンジスマートフォン、AQUOS senseシリーズでした! シャープとしては2年連続の大賞受賞になります。おめでとうございます!

[選評]
鴻海資本のもとで事業撤退をほとんどすることなく未曾有の経営危機から立ち直ったシャープ。いよいよ今年から、鴻海傘下としてスマートフォン開発の仕切り直しを図らんとしました。その手始めとして発表したのが、今回大賞に輝いたこのAQUOS Rでした。AQUOS ZETA/SERIE/Xxシリーズと各社でバラバラになっていたフラッグシップ機の一本化を狙って開発された端末です。

元々シャープはキャリアごとにラインが分かれていた非効率な端末開発方針でしたが、2015年秋冬モデルから徐々に基本設計を一本化してきていました。2016年夏に発売したフラッグシップ機ではキャリアモデルごとの差異がかなり少なくなっています。AQUOS Rのスタイリングは、このAQUOS ZETA SH-04H、AQUOS Xx3 506SH、AQUOS SERIE SHV34を継承しつつ、更に丸みを帯びたものになっていました。具体的に言うと、2016年度のフラッグシップモデルで目立った角が取れて柔和なラインを描いています。

AQUOS Rの「R」には以下の意味が込められています(参照)。

Reality…臨場感のある映像美
Response…なめらかで俊敏なレスポンス
Reliability…長く使える信頼性
Robotics…人工知能が賢くサポート

SoCとして採用されたのはクアルコムのSnapdragon 835 MSM8998です。Snapdragon 835はKryo 280をアーキテクチャーとしていますが、その実態はARM Cortex-A73をクアルコムが最適化したものでした。2.45GHz×8コアという凄まじく高性能なCPUを搭載していますが、この機種では約1割クロックダウンしたうえで2.27GHz×4コア+1.90GHz×4コアの2クラスターによる疑似big.LITTLE処理としていました。インテルに先んじて、最先端の10nmプロセスを採用しています。元々、Snapdragon 835は実用する上でほとんど発熱しない優秀なSoCでしたが、AQUOS Rでは本体シャーシや各種センサーを通して熱ダレによるパフォーマンス低下を防ぐ温度管理システムを具備していました。

RAMは4GBのDDR4 SDRAM、本体ストレージは今までのembedded MMCから一転、これから普及が期待されている64GBのUFSと、いずれもAQUOS史上初搭載になりました。ディスプレイはシャープのお家芸である5.3型IGZO液晶クアッドHD解像度(2,560×1,440pixel)を誇り、フロントカメラもSelfieが綺麗に撮れ4K動画にも対応した16メガピクセル、リアカメラは様々なモード撮影や4K動画撮影に対応し、光学式手ブレ補正にも対応した23メガピクセルカメラとなっていました。USB端子もmicroUSB-BからUSB 3.1 Gen1 Type-Cとなり、高速なバス速度と充電を実現していました。

ここまで説明すると普通のスマートフォンと一緒ですが、シャープは日本メーカーでいち早くAndroid端末を手掛けていたこともあって、技術の積み重ねがかなり豊富でした。そのため、様々な気配りのきいた機能や自社技術が活かせる独自機能を実装していました。特に、液晶のシャープと呼ばれているだけあってディスプレイへのこだわりは尋常ではありませんでした。スクロールしても残像が出ないハイスピードIGZOや、4Kテレビの技術で培ったHDR表示にも対応していました。2016年度のフラッグシップ機ではSHV34を除き本体横にあった指紋センサーも、画面下に移動しました。

また、エモパー[emopa]というAIテクノロジーを活用したアシスタント機能を本体に搭載していました。これはAQUOS ZETA SH-01Gなどで先行して対応したもので、以前は端末スペックの関係で処理が追い付かないことも多々ありました。しかし、それも度重なるアップデートや端末スペック向上で最近になって実用に堪えうるものになっていきました。

Aquos_r_roboqul

この機種ではエモパーを積極的に活用してもらう狙いにより、au版とソフトバンク版に限りロボクル[ROBOQUL]と呼ばれる充電台が付属しており、これにセットすることで手を触れずに情報を目にできるよう自動的に顔を検知して端末が回転するといった機能も具備していました。ドコモ版や後に発売された対応機種では付属していませんでしたが、家電店ルートで市販されたことにより、別途手に入れることで対応機種でもエモパーのさらなる機能拡張ができるようになっていました。

筆者もAQUOS Rの設計思想に大変共感した1人です。特に、下馬評では供給に不利とされていたSnapdragon 835の調達に成功したことに驚き、鴻海傘下になったことでEMS業者ならではの品質改善のノウハウ導入、当面の間OSバージョンアップやセキュリティパッチ配布が約束されるなど、安心して使える設計であることがメーカーからの発表でうかがえたのです。実際、筆者にとってもAQUOS SERIE SHI16(ISW16SH)以来となるシャープ機導入を後押しすることになった1台でした。決してベゼルレス設計などの時代の潮流に便乗していなかったものの、その分手堅い設計により非常に使いやすかった端末です。間違いなく、筆者の今年のベストバイガジェットといえる1台でした。

Android 8.0バージョンアップがキャリア端末としてはいの一番で配信されたこと、特にその一番乗りが大方の予想を裏切りau向け端末のSHV39だったことがいい意味で我々の期待を裏切ってくれました。悪い意味で裏切られてしまったISW16SHの時代があったのが信じられないほどです。その後、順当にドコモ向けのSH-03J、ソフトバンク向けの604SHとOSバージョンアップが配信されていました。

Shm05

[画像はSIMフリー版、SH-M05]

一方で、この頃電器店で注目の的になっているAQUOS senseシリーズも忘れてはなりません。ミドルレンジモデルなのに5.0型フルハイビジョンIGZO液晶搭載、カメラも実用やSelfieに堪えうるフロント5メガピクセル、リア13メガピクセル、モデルグレードの割に容量が大きめのRAM3GB、ROM32GBと、この層の割には欲張りなスペックでした。SoCはSnapdragon 430 MSM8937(Cortex-A53 1.40GHz×4コア+1.10GHz×4コア)とそこそこのスペックにとどまっていますが、実態としてはSnapdragon 617 MSM8952に近いスペックでした。

このAQUOS senseはシャープ発売のAndroid Oneシリーズの設計思想を継承しつつ、AQUOS Rシリーズに匹敵する機能を実現しようとした努力の賜物でした。こちらもやはり、OSバージョンアップや定期的なセキュリティアップデートがメーカーによって保証されています。NTTドコモではdocomo withシリーズとしてサブ端末需要を狙っていましたし、ユーザーの要望にこたえる形でSIMフリーモデルも販売されました。価格、機能、スペックのバランスがとれていることから、これからSIMフリースマートフォンが欲しい方へ、いの一番でお勧めしたい端末といえます。年明けにはソフトバンク版も発売されるため、尚更お勧めしたくなること請け合いです。

現在、日本市場ではiPhoneがやや優勢ということもあり、Android陣営は全体的に不利に立たされています。その中で、シャープはいかにユーザーから飽きられず、心変わりさせない端末を作っていたのかがうかがえます。機能、スペックの双方で飽きずに使える設計を心掛けていたことがシャープ機のこの2台をケータイ・オブ・ザ・イヤー2017に選出する決め手となりました。

このような努力を怠らなかったシャープ株式会社こそ、まさにケータイメーカー・オブ・ザ・イヤー2017にふさわしいといえるでしょう。追記にて、惜しくも次点入りにとどまった端末を紹介します。

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2017年12月23日 (土)

華美な湖

第8世代Core iシリーズが出そろいました。が…その結果は従来のCoreシリーズの掟を破るものとなりました。デスクトップ向けはAMDのRyzen[ライゼン]の影響でマルチコア化が進んだのか、かなり評判がよくなりましたが、問題はノート向けですね…。その実態ですが、i5-7300HQやi7-7700HQを低電力化させただけという手抜き仕様です。

まあ、ノートパソコン向けCPUはKaby Lake Refreshですので、真の目的はリアルモバイルノートでもクアッドコアCPUを搭載しようというものですね。第7世代まで低電圧版はi7、i5ともにデュアルコア4スレッドで、いわゆる「偽りのi7/i5」だったわけです。

一方、デスクトップ向けCPUは第8世代ではCoffee Lake-Sとなり、i7、i5、i3ともに変則的な規則となりました。今までと比較すると、

Core i7: 4コア8スレッド→6コア12スレッド
Core i5: ネイティブクアッドコア→ネイティブヘキサコア
Core i3: デュアルコア4スレッド→ネイティブクアッドコア


といった風に変化しました。そのため、LGA 2011とLGA2011-v3の関係と同様、同じLGA 1151のCPUでも100シリーズと200シリーズのマザー間ではSkylake/Kaby Lakeとも双方に制約(※)がありながらも互換性がありますが、こちらは300シリーズマザー専用となり電気的な互換性は失われました。

(※)具体的にいえば、Skylake+200シリーズマザーまたはKaby Lake+100シリーズマザーではOptaneやUHD BDに対応できなくなります。OptaneとはHDDと組み合わせることで読み書きを高速化できるキャッシュとして振る舞えるSSDのこと。もちろん、OptaneはSSDと組み合わせても劇的に速くなります。まだインテルの独占状態なのが難点ですが…。

なお、第8世代Core iシリーズの本命と筆者が目しているのは2018年初頭に発表予定のAMD製GPUを内蔵し1パッケージに収めたパフォーマンス向けCPUまたは従来の進化系といえるCoffee Lake-Hです。これはコンピューター史に残る事件といっていいでしょう。問題は日本勢がこれを搭載するかどうかですが…。日本ではパソコンでゲームをやる文化があまり根付いていないので、メーカーは及び腰ではないでしょうか。

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[画像はAH77/B1。貴重なクアッドコアノートでもあった。]

実は今、筆者がメインで使うノートとして購入を検討しているのは、富士通のFMV-LIFEBOOK AH77/B1またはGRANNOTE AH90/B1です。本来ならば最新機種のAH77/B3にすべきですが、その仕様に様々な意味でがっかりさせられました。対抗馬となるLAVIE Note Next NX750/JAB開発者インタビューにもあったのと同じく、ベゼルレス設計とするためにタッチパネルが省かれてしまったのは惜しかったです。

AH77/B1はMicrosoftが推奨している指紋認証によるアンロックに対応していませんが(一応カメラを使った顔認証が可能)、AH77/B3で省かれたNFCタグリーダー機能やタッチパネルを搭載していますし、外付けチップセットIntel HM175のおかげで余裕ある8GT/秒ものバス幅を誇るためにUSB 3.1 Gen2にも対応しています。その割にはバッテリー持ちがそこそこ良いです。実際、設計を共有しているAH53/B2AH50/B1(店舗限定モデル)はそれ以上にバッテリー持ちが良いです。

さらに重要な点としては、バッテリーがユーザー自身で着脱可能なこと。容量も45Whと、中型ノートにしては割と大きめです。分解が必要ですが、メーカーでもオプションとして用意してあって、万が一リコールがあった際も安心です。よりによってNECは上位機種でバッテリー着脱不可にしやがった上に部品を一般ユーザーに頒布しないので、バッテリーリコールが起こったら本体ごとメーカーに送って交換しなければならないのです。酷いな、これ。

AH77/B3に搭載されたCore i7 8550UはCoreシリーズ史上最もがっかりさせられたSoCでした。低電圧CPUでようやくクアッドコアを実現したはいいですが、i7-7700HQの焼き直しじゃちょっとですね。それにi7-8550Uはチップセットまで一体化しているため、インテルの仕様を見たらCPUから繋がっているバス幅は4GT/秒とどまりとなっています。

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[GRANNOTE AH90/B1。4Kディスプレイを搭載している貴重なノートパソコンになってしまった]

一方で、i7-7700HQは現時点で間違いなくノート向けCore iシリーズのCPU最高傑作です。本来のCore i7と同じクアッドコア8スレッドですし、クロック周波数もデスクトップ用の低電力CPU、i7-7700Tと非常に近いです。内蔵のIntel HD Graphic 630Intel UHD Graphics 620よりも若干性能が良く、将来普及が期待されるVulkanにも対応しています。そのため、辛うじて内蔵GPUでも3Dゲームが動かせるなら実用上問題はないかと思います。こればっかりは実際にFF14ベンチやドラクエ10ベンチで確認するまでわからないですが。

ただでさえ老体のFMV-BIBLO MG75Xをだましだまし使っているだけあって、筆者はもうこれ以上耐えきれません。入手でき次第、報告したいと思います。

2017年12月22日 (金)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2017 [はじめに]

年末恒例のこの企画、実は筆者のblogの中でも特にアクセス数が高いトピックとなっています。今年も本家大元に便乗して選出してみたいと思います。まずは、今年の傾向について考察してみたいと思います。

■Androidでも10万超え! 高額端末の増加
日進月歩で高機能化するスマートフォン。とうとう、その影響が本体価格にも波及してしまいました。なんと10万円を超えた高額端末がAndroidでも登場することになってしまいました。フラッグシップ機の平均本体価格が8-9万円であることを考慮すると、非常に高いと感じること必至でしょう。

既にiPhoneファミリーではストレージ容量や画面サイズにより10万オーバーの端末が増えてきています。iPhone 6s/6s Plusの頃から顕在化してきました。iPhone 7/7 Plusでは歩留まりの悪いジェットブラック登場の煽りで更に10万越えのバリエーションが増え、iPhone 8/8 Plusでは10万以内の端末はiPhone 8の64GBモデルのみとなってしまいました。もちろん、iPhone Xは全バリエーションとも10万円オーバーです。

これがどう影響するのかといいますと、割賦斡旋契約を組む際の審査が精密化します。つまり、ジャックスオリコセディナなどがやっているショッピングローンと実態が同じになっています。審査内容によってはいくら分割払いを望んでも一括払いを求められること必至です。実際、iPhone X発売当時は「審査に落ちて買えなかった」という契約者が相次いだようです。もし、どうしても希望の機種を選ぼうとしても審査に落ちるのが怖いのであれば、次の機種変更に備えて貯金するのも検討していいでしょう。

■進むベゼルレス化

2017年初頭に発表された端末から、本体サイズいっぱいにディスプレイが搭載されているベゼルレス画面のスマートフォンが台頭してきました。本来はシャープが2013-15年発売の端末でEDGEST(エッジスト)デザインとして取り組んでいたことですが、当時未熟だった64bitアーキテクチャーの見直しでいったん白紙化され、改めて業界の潮流となったものです。その間に様々なブレークスルーが生じました。

まずは量産効果で有機ELの生産コストが下がったこと。次期iPhoneで有機ELが採用されるとの噂から(実際にiPhone Xとして搭載が実現)、これを搭載するメーカーが増えてきたことも後押ししていました。有機ELディスプレイは薄く縁が狭いためベゼルレス画面を実現しているのに向いているとされていました。また、曲げにも強く、後述する設計にも順応しやすかったのも事実です。iPhone XのほかにはLGのV30などが有機ELでベゼルレス画面を実現した有名な端末になるでしょう。

そして2.5Dガラスの一般化と3Dガラス採用機種の台頭。2.5Dガラスは曲面加工を施したシートガラスのことで、表面に丸みを持たせ、シームレスまたはなめらかなデザインを実現できます。そして重要なのが3Dガラス。これは完全にガラス素材そのものを曲げたもので、曲面ガラスとも呼ばれています。特に有名な採用例はサムスン電子のGalaxy SシリーズGalaxy Noteシリーズになります。サムスン電子はスマートフォン用有機ELディスプレイで世界最大手ですが、元々有機ELだから実現できるとして始めた曲面ディスプレイ、Edge Displayの技術が形を変えて、ベゼルレス画面の実現に一躍買ったようです。

一方で液晶ディスプレイでベゼルレス設計を目指したメーカーとしてはシャープが有名です。2017年12月22日発売のAQUOS R Compact SHV41/701SHには同社がかつて展開していたEDGESTデザインが活用されており、主に上部ギリギリに画面が収まっているというユニークなデザインになっています。「液晶のシャープ」の意地や面目躍如といったところでしょうか。実は、Android生みの親が開発したEssential Phoneも液晶でベゼルレス化を目指した機種でした。

このベゼルレス画面ですが、日本ではやや否寄りの評判になってしまっています。主に誤操作や使いにくさを嫌気する向きにあるようです。機種によっては画面がいびつになってしまうこともあり、それもしばしば批判のやり玉に挙げられることも…。果たして、日本市場ではその後のスマートフォンの変化に順応できるユーザーが増えていくのでしょうか?

■MNOとの共食いと淘汰が進むMVNO
FREETELを運営するプラスワン・マーケティング株式会社が回線事業をRakuten Mobileへ譲渡し、端末メーカーとして生き残りを図らんとすとの報道がモバイルファンから大きな衝撃を以て迎えられました。ここから浮き彫りになってきたのがMVNOとしての見通し、戦略、通信品質に対する認識の違いでした。FREETELはMVNOであると同時に端末ブランドでもあります。端末メーカーとしては後述します。

現在営業中のMVNOのほとんどは株式会社NTTドコモから回線を借りて運営しています。一方で、今年にわかに注目を集めたのがKDDI株式会社やソフトバンク株式会社から回線を借りて営業しているMVNOでした。ドコモ系回線を用いるMVNOは一部を除いて、通信速度の遅さから嫌気され始めた格好です。

中でも、KDDIの関連会社としてau回線を用いたMVNO事業を展開しているUQコミュニケーションズ株式会社が非常に速いと評判になっています。au系のMVNOは少ないですが、その代わりに積極的な広告戦略が特徴的です。株式会社ケイ・オプティコムが展開しているmineo(マイネオ)もまた、au系メインのMVNOとして有名です。UQは全国でモバイルWiMAXを展開していますし、ケイ・オプティコムはeo(イオ)のブランド名で光回線を提供しており、関西ではフレッツをしのぐトップシェアを誇っています。このように、本業の片手間でMVNO事業を展開している業者が制する構図となってきました。それに該当するMVNOはほとんどがISP系またはネットサービス大手です。

一方、厳密にはMVNOといえないものの、MNOのサブブランドという微妙な立ち位置にいるY!mobileも善戦しているようですが、その一方で大元のソフトバンク回線の大量解約が目立ちます。これは従来のようにモジュール契約という名の水増し契約ができなくなったこと、そのモジュール契約の大量解約が目立ったこと、そして看板ともいえる存在だった孫正義氏が第一線から退いたことやキャリアとしての優位点を失ったためY!mobileや他社への流出が目立ったことがあげられます。この頃はUQやmineoとauの関係がそれに似てきています。このように、回線を貸し出すMNOと、それを借り受けてサービスを提供するMVNOとの間で共食い合戦が始まっているようです。

依然として進まないのが決済手段の拡大です。ほとんどのMVNOが決済手段をクレジットカードに限定しています。これは、クレジットカードだけで個人情報の確認が取れることとも大きくかかわりがあるようです。口座振替でも契約できるようになったMVNOがこの頃増えていますが、非常に鈍いペースです。故に、MVNOが未だに「モバイラーが複数台持つ中の副回線」としての地位から脱せていないことがうかがえます。

FREETEL破綻の原因の1つとして、有人店舗の開設などMNOの採る戦略を模倣したことも裏目に出ていたようです。FREETELは半官半民ファンドからも出資を受けて、海外展開をもくろむなど一時は非常に勢いづいていたように見えました。しかしながらこれは本来MVNOが採るべき戦略とは逆行するものでした。UQなど、一部MVNOはコストを切り詰めるべくSIMカードを置いてもらう店舗探しなどといった地道な努力を重ねていました。つまり、SIMカードの購入費が手数料代わりとしてそのままMVNOに入ってくるという塩梅です。本来ならばMVNOはコスト削減のために無店舗でも展開できる業態ですからね…。

■SIMフリー市場の拡大とスペック至上主義の終焉の裏で…

昨年から急激に拡大してきたSIMフリー市場ですが、それに影響するかのようにキャリア端末の中でも売れ筋が移り変わるようになりました。相変わらずハイスペック機を求めるきらいはあるものの、拡大したのはミドルレンジ機のシェアでした。特に、昨年からミドルレンジ機に力を入れてきたシャープの勢いはとどまるところを知りません。国内の大手キャリアの中で前述の「共食い」を唯一起こしていない株式会社NTTドコモも、その動きに非常に敏感でした。

2016年にZTEジャパン株式会社へ開発委託したMONO MO-01Jを発売していましたし、2017年にはdocomo withとして基本料、端末代金ともに格安のプランを用意することになりました。ここでもやはり、用意された端末はミドルレンジばかりで、arrows Be F-05JGalaxy Feel SC-04JAQUOS sense SH-01Kでした。もちろん、MO-01Jの後継機、MONO MO-01Kも対象になっています。中でもAQUOS senseやそれに準ずる端末は非常に人気で、電器店でも注目の的にされているとのことです。

キャリアを通さないSIMフリー端末は大体がDSDS(Dual-SIM & Dual-Standby)対応になってきました。これはMVNOで使われることや、キャリア回線とMVNOをひとまとめにすることが想定されてそうです。品質もキャリア端末のミドルレンジと遜色ないものばかりになってきました。人口10万弱の地方都市にある電器店でもHuaweiやASUS、ALCATEL(TCL)、そしてFREETELなどといったSIMフリー端末がかなり手に入りやすくなってきたと感じます。

一方で、SIMフリー市場においてはサポートや品質に疑義のある事項も生じました。メーカーにもよりますが、セキュリティパッチやOSバージョンアップに対する認識がまちまちです。中には、メーカー修理やアップデートをめぐり、その対応のまずさから炎上を起こしたメーカーまでありました。最悪のケースとして品質問題に発展したメーカーもあり、多くのモバイラーから期待されながらもスマートフォンのバッテリー発火問題のみならず、他の分野でスペック詐称問題を起こした結果信用が失墜したUPQ、スペック相応の品質や安定性を確保できなかったFREETELが引き合いに出されています。

特にUPQはせっかくの第2弾モデルになるはずだったUPQ Phone A02の発売中止のみならず、提携先から見放され新商品を出す余裕すらなくなるなど、自業自得としか言いようのない惨状に発展してしまいました。FREETELはMADE BY JAPANを掲げながらも実態は中華スマホそのものでまさに羊頭狗肉の極まり。MVNOと端末メーカーの両立はかなり難しかったようで、12月に入り民事再生法を適用し、倒産してしまいました。

■やっとAndroidファンに安堵の色
今まで、キャリア端末向けのOSバージョンアップは1度きりか全くない状況が長らく続いていましたが、これは過去の話。長らくキャリアにより蹂躙されつくしたAndroidユーザーが安心してスマートフォンを継続利用できるようになりました。2015年夏モデル以降、2度目のバージョンアップを受けられる機種が多くなってきたようです。一般的に2015年度モデルはAndroid 7.0まで、2016年度モデルはAndroid 8.0までのバージョンアップが保証される打算となりました。

また、キャリア端末ながら迅速にAndroid 8.0へのバージョンアップが提供された端末もあります。かつてはバージョンアップ提供まで生産開始から1年弱待たなければならなかった端末ですら、その半分ほどにラグが縮まりました。キャリア各社でOSバージョンアップ提供時期がバラバラだったり、そもそも提供すらされなかった状況もだいぶ改善の兆しがみられています。

その背景に、キャリアのみならず、端末メーカーもGoogleのパートナーに指定されたことが挙げられるでしょうか。あまり目立っていませんが、Android 8.0の目玉機能の1つにProject Trebleが挙げられます。これは、Android OSとメーカー別のファームウェアが別個にアップデートできるというもので、OSバージョンアップのサイクルを早められると同時に、同じ設計なのにキャリア間でOSバージョンのフラグメント化が防げるという利点もあります(参考)。

一方で、日本市場ではPixelシリーズの発売は結局見送られました。Pixelシリーズの前身、Nexusシリーズの販売実績が凄惨たるものだったうえ、販売キャリア(特にソフトバンク)からもぞんざいに扱われていたあたりGoogle側が察していたのでしょうか。一方で、Project Trebleの存在により、パートナーメーカーの端末を持っていれば最新OSにより早く触れられることになりそうです。Pixelシリーズの市場投入がしばらく見送られた日本では、パートナーメーカーの端末がそれに準ずる扱いとなるようです。

因みに、パートナーメーカーに指定されたのは11社で、その中にAndroid 8.0の開発に深く関与したソニーモバイル、Android Oneの販売実績のあるシャープ、京セラ、HTC、そしてLGやサムスン、Huaweiなどの日本市場でも存在感を放つメーカーがあります。なんとかXperia Z5系のAndroid 6.0バージョンアップのようなウルトラC、実現するといいですね。

■今後の予定
今回はちょっと忙しなくなりそうです。本家大元に合わせて、以下の予定で発表します。

・筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2017
本家大元の投票締切日、2017年12月27日発表

・筆者の選ぶクソケータイ・オブ・ザ・イヤー2017
本家大元の結果発表日、2017年12月28日発表


いつものように大賞および次点を選評とともに発表します。今回はケータイメーカー・オブ・ザ・イヤーとクソケータイメーカー・オブ・ザ・イヤーも併せて発表したいと思います。乞うご期待!

2017年12月17日 (日)

古き良き時代のポケットラジオ

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この機種、未だに根強い人気があるんですね。通勤用ラジオ最高傑作とも評されていたソニーのSRF-M902Vを入手しました。今日のSRF-T355まで続く通勤用ラジオの第1の完成形でしょう。メーカー希望小売価格は3%税別で10,800円で、1988年発売のSRF-M3V(定価13,800円)の後継機だそうです。移動中もFMラジオをステレオで聴きたかったのが入手した動機になります。やはりSRF-T355入手までのつなぎにしたいですね。

このラジオ、情報によれば1990年9月21日発売だったようです。兄弟機として、テレビ音声受信機能のないSRF-M901もありました。後にAMステレオ対応機種として発売されたSRF-M911のベースになったラジオのようです。

このラジオの大きな特徴はエリアコール機能になります。当時のソニーのポケットラジオはダイヤル式からデジタル式へ移行したばかりで、プリセット選局機能も付いていましたがその作業が煩わしく感じるユーザーも少なくありませんでした。これを簡略化すべく、初めから放送局を設定で呼び出せるようにしたのがエリアコール機能です。

しかし、そのエリアコール機能も全国を網羅しているとは言えず、後継機で各地の基幹都市が、後に開発されたスーパーエリアコール機能によってようやく全国の放送局が網羅されることになりました。このスーパーエリアコールは後に、中継局まで細かに設定できるようになるなどの進化を遂げています。

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スエードタッチのソフトケースから取り出してみると状態は極上! とても四半世紀使われたラジオとは思えません。しかも、フロントパネルはアルミ板とバブリーな設計です。但し、全面金属製パネルでは電磁遮蔽されてしまうため、下だけ樹脂製になっています。ソニーのポケットラジオは下にAM用バーアンテナが内蔵されている機種が多かったのではないでしょうか。横幅に余裕があるので、内蔵されているバーアンテナも長そう。バーアンテナは長いほうが受信感度の面で有利になりますね。

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このラジオはスピーカーを内蔵しておらず、ヘッドホン端子も今となっては特殊なミニミニ型(2.5mm径)になっていました。当時の技術では、このキツキツのスペースに3.5mm径のミニ端子を搭載する余裕がなかったのでしょう。そのため、動作チェック用の乾電池と一緒にミニミニプラグへ変換するアダプターを購入しました。当のソニーでは、アナログオーディオ用ケーブルやアクセサリー諸共撤退してしまったようで…残念な限り。現在、ソニーではHDMIケーブルしか扱っていません(参考)。

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スピーカーがない上に本体が大きめなので、電池の入れ方がとてもユニーク。普通は縦に入れる乾電池は、この機種では横向きに入れます。電池蓋の出来がいい上に絶妙な固さで閉まるので、乾電池をしっかり固定できます。

発売時期が1990年と微妙なため、FM周波数が90.0MHzできっぱり区切られていてワイドFMは受信不可でした。しかしながらPLL検波を採用しているため、発売から四半世紀経ってもなおズレずに同調できます! あまりにもチューナーの特性がいいのか、強電界局はマルチパス妨害が生じてしまいましたw

さすがにポケットラジオの名機だけあって、操作性は抜群。付属のスエード調ソフトケースも操作性を損なわない程度に本体を覆ってくれています。エリアコール機能も後継機とは異なり、自分でプリセットした局と併せて選局できるのがありがたいです。今日のスーパーエリアコール機能は設定でマイプリセットと切り替える手間が生じていますから…。

このラジオ、日本製だったんですね。当時は日本市場向け製品といえば日本製が当たり前だった時代でした。しかし、その頃から既に廉価機や二流以下のメーカーは新興国で製造されるようになってしまっていました。やがてバブル崩壊後、海外への生産拠点移転は加速し、今となってはとうとう日本製ラジオといえば孤高のBCLラジオ、ICF-SW7600GRぐらいしかなくなってしまいました。

現在、ソニーは主に中国で、パナソニックはインドネシアでラジオを生産しているようです。インドネシアは今も人件費が安いようですが、中国はむしろ割高になってしまっています。ですが、中国は「世界の工場」と呼ばれているだけあって、工場で働く人の確保もしやすく大量生産に向いた立地なのかもしれません。

最近は「日本製にしても人件費がさほど変わらなくなったから」と、ホンダのスーパーカブが日本製に戻るなど、MADE IN JAPAN回帰の動きが高まっているようですが、この動きが電機メーカーにも波及してくれればなあ…。

さて、追記にて主だった操作方法を解説します。

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2017年12月10日 (日)

続・ランララ、ジンジン、オオオオオ

冬になりました。やはり問題になるのはバスを待つときなどにどうしても耳が音を恋しがることです。つまり、ラジオが聴きたいのです。吉田松陰シンガポール恋しがる、じゃありませんよ。春前にとんでもない安値でSRF-R431を手に入れていましたが、今はこんな惨状です…。

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[たった1か月の命…]

液晶は割れ、見るも無惨な姿になってしまいました。これでもかろうじて動きますが、修理するよりは買い換えるべきですね…。定額修理になりますが、修理代が9,720円と新品が買えるくらい掛かります。

今はradiko.jpドコデモFM(=LISMO WAVE)ラジオクラウドというありがたーいサービスが併存していますが、筆者はどうしてもラジオを電波で聴きたい主義です。これらのサービスも災害時に重宝するかもしれませんが、ラジオを受信機で聴く習慣をつけるきっかけにならなければなりません。ワイドFM(FM補完中継局)も、有事の際に中波送信所が被害を受けて送信不能になった際の保険のために始められたようなものです。実際、TBCの荒井ラジオ送信所が被災して送信機能がいったん停止したことがありましたからね…。

とりあえず、筆者はSRF-T355を手に入れることを目標にしたいです。SRF-R431/R433は巻き取り式イヤホンを内蔵する上に小さくするために結構無茶をしているのでヘッドホン端子が横付けだったりして、外付けヘッドホンを使いたい筆者にとっては購入を先送りしたいと思っています。立ち上がりはSRF-R431/R433のほうがめちゃくちゃ速いですけど。

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[ラベルからお察しできますが、入手元はなんとブックオフ!]

当面の間どうしよう…と思っていた矢先、ポケットラジオのICF-M55が手に入りました。入手価格は2,000円弱なのでまあまあかなと。若干の使用感がありましたが、状態は上々でした。このラジオ、ワイドFMが聴けます。

ソニーのカタログによれば生産終了になっていますが、まだまだ在庫限りで市中在庫が手に入ります。発売が2007年だそうで、足かけ10年のモデルライフですね。10年選手ならモデルチェンジの機会でしょう。懐かしい形をしたイヤホンが付属していました。これならつなぎの機種として活躍できそうです。

電源を切ると懐中時計になりますし、プリセット局数もAM10局、FM15局となかなか充実しています。SRF-T355と同じく、単4電池2本で動きます。奇遇にも持て余していたeneloop(しかもレアな初代かつ初期型のHR-4UTG)があったので、それを入れて運用することにしました。

SRF-R431ではさすがにプリセット局数が足りなかったですが、これは一通りプリセットしておきたい局が登録できました。横手市内でも夕暮れ時から徐々に在京中波局が聴けるようになるので、これらは必ず登録ですね。また、秋田県県南でも受信できる可能性にかけて、岩手県や宮城県のFM放送局もプリセットしてみました。この機種、ロッドアンテナが付いているのでイヤホンアンテナを使う通勤用ラジオよりもFMの電波をつかみやすいと思います。

横手市内では地元局のほかに山形放送(918kHz)、IBC(684kHz)、TBC(1260kHz)が日中でも入るようです。但し、プリセット局数の限界に達したので周波数が近いプリセット局を選んでから手動で同調といった塩梅にしようと思います。それにしても、親局のはずのNHK秋田ラジオ第1(1503kHz、10kW)の入りが出力が半分のABSラジオ(936kHz、5kW)と比べてイマイチなのはなぜだ…? やはり空中線形状の関係なんでしょうか?

概ね、口コミでは「並」の評価を得ていますが、実際その通りですね。操作性の良さは説明書いらずなので言うに及ばず。周波数スキャンとプリセット選局の両方で同調できるので、ラジオ入門にお勧めです。この機種をダイヤル式ラジオにしたものがICF-51ですが、同調つまみが固すぎず回しやすいのがいいですね。

ところで最近、日本勢の発売するDSPラジオが増えてきました。ソニーは主に、ラジオCDなどをこっそりとDSPラジオ化しているようです。筆者はSRF-T355も、実はDSPラジオではないかと読んでいます。DSPラジオは原理上、フロントエンドをシリコン化しており、経年劣化とはほぼ無縁です。

この頃パナソニックが「デジタルチューナー搭載」や「らくらくチューニング」を謳ったダイヤル式ラジオも出していますが、実態としてはDSPラジオそのものです。うーん…DSPラジオなのにダイヤル式チューニングって、ポリバリコンより耐久性の劣る可変抵抗を用いるから必然的に製品寿命が縮まりますねえ…。可変抵抗だと精度もポリバリコンに劣るので、AFC(Automatic Frequency Control)に頼っているのが「らくらくチューニング」の実態です。

それに、ダイヤル式チューナーなのにDSPを用いる機種は、筆者はフィジカルの問題で好きになれないです。どうも、ポリバリコンの生産から撤退したメーカーが現れた模様で、仕方なくダイヤル式のDSPラジオを開発せざるを得なくなったようです。そもそもラジオそのものが枯れた技術なので、デバイスの枯渇も時間の問題になっているようです。貴重なライター型ラジオ、SRF-M98まで生産終了ですしねえ…。

今年、筆者は「原器」たるICF-EX5を手に入れることができました(リンク先はMK2)。無印は1985年10月21日発売で、四半世紀近く生産されたロングセラー機です。これは後ほど紹介するとして、最終的にはやっぱりICF-SW7600GRを手に入れることが目標になりますね…。とにかく、これを手にしていないとラジオ好きから「もぐり」扱いされそうなので…。

2017年12月 1日 (金)

忖度の結果…

2017年も12月(師走)を残すのみとなりました。毎年恒例の新語・流行語大賞が発表されました。今年の大賞は、既存メディアが影響力を失いつつあることと、国民の政治問題への関心度を反映するかのような結果になりました。

■インスタ映え
画像投稿に特化したソーシャルネットワークシステム、Instagram[インスタグラム]で多くの「いいね[Like]」を獲得するために写真の撮り方を工夫すること。Instagramそのものがカメラアプリでもあり、フォトレタッチ機能を具備している。

但し、目的ではなく手段としてのLike獲得のために手段を選ばなくなったアカウントも少なからず存在しており、このようなアカウントはインスタ蠅と呼ばれ嫌われることになってしまった。

受賞対象はなんとファッション情報誌のCanCamで活躍するCanCam it girlのメンバーたち。インフルエンサー[Influencer]と呼ばれている彼女らを簡単に解説すると、読者に対しライフスタイルや価値観などに対し一定の影響力をもたらす人々である。かつて蛯原友里や押切もえなどの大人気モデルを輩出してきたファッション誌はかつてほどの勢いは見られなくなったものの、依然としてF1層への影響力を保持し続けていることがうかがえる。

■忖度(そんたく)
森友学園問題や加計学園問題など、私立学校と政治家の癒着関係が大問題になったが、その際に安倍晋三内閣総理大臣の答弁から頻出した言葉である。元々は再生手続中の学校法人森友学園の元理事長、籠池康博氏(通名: 泰典)がマスコミからの取材で発した言葉であった。他人の気持ちを推し量ることという意味を持ち、言い換えると推測又は推察となるだろう。

但し、受賞者は忖度まんじゅうを考案した株式会社ヘソプロダクションの代表取締役社長。やはり政治家は受賞を辞退するのが不文律と化しているようである。忖度まんじゅうで筆者が思い出したのは「テイルズ オブ エクシリア/エクシリア2」に登場するガイアスまんじゅうであった。

なお、2017年特別賞はそれぞれの分野で健闘した面々が授賞対象になっています。リオデジャネイロオリンピック以来、日本が実力をつけつつある陸上競技において桐生祥秀氏が100m走で難攻不落とされていた10秒の壁を打ち破り9.98秒の日本新記録を達成。一方、世界的にブームになっている将棋界において中学生ながら棋士デビューを果たした藤井聡太四段が成し遂げた29連勝という大偉業。今年は平成29年なので、藤井四段にはぜひとも来年、平成30年(2018年)は30連勝を目指していただきたいものです。

これから2017年を様々な目線から振り返ってみたいなあ、と思う次第です。ここで、個人的な今年の流行語を発表してみたいと思います。

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