« スマホとカメラの融合を目指して | トップページ | 筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2015 »

2015年12月23日 (水)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2015 [はじめに]

今年もこの時期に突入いたしました。毎年恒例の、筆者の独断と偏見(?)に基づいて選出するケータイ・オブ・ザ・イヤー2015です。インプレスが実施しております本家大元も2015年12月24日まで投票を受け付けております。

その前に、例によって今年の傾向を見てみようと思います。一言でいえば、MNO(いわゆるキャリア)とそうでない勢力のぶつかり合いになりました。

■MVNO市場の躍進
2014年に各社が提唱した音声定額プランが一部契約者から割高を理由に嫌気され、積極的にMVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動通信事業者)の運用を検討する消費者が目立つようになりました。いわゆる格安SIMです。どちらかと言えばサブ回線の維持に向いています。

MVNOは設備を持たないため、MNOから帯域を借りて回線を提供します。そのため、通信にかかる速度や品質が若干落ちますが、維持費は安く済みます。ただし、現在のMVNOはITリテラシーの高い層に利用してもらうことを前提にサービスしているためか、サポート体制に一癖あるのが難点です。また、合理化の弊害でクレジットカード払いのみでしか契約できない場合が多く、クレジットカードを持っていないか審査落ちで持てない場合は渋々あきらめるしかないのが現状です。一応プリペイドSIMタイプや口座振替で料金を支払えるMVNOもありますが…。

MVNOのほとんどはNTTドコモの回線を利用するため、ドコモのスマートフォンがあればアクセスポイントの設定をするだけでそのまま利用できます。また、ほとんどはデータ専用で、2台持ちとWi-Fi運用との併用を前提にプラン設定がされています。最近ではau系のMVNOも徐々に増えており、そちらはauスマートフォンまたはSIMロックを事前に解除した一部のスマートフォンがあれば運用できます。今後はiOS系端末が柔軟にMVNOに対応できることとソフトバンク系MVNOの誕生が課題と言っても過言ではないでしょう。

近年では、MVNE(Mobile Virtual Network Enabler、仮想移動通信サービス提供者)の成長も目覚ましく、MVNOとして活動する傍らで自社のノウハウを活かしてMVNO市場に参入する業者のネットワーク構築を支援する動きも活発化しています。現在林立しているMVNOはMVNEの支援によって成り立っています。

■活発化するSIMフリー市場
以前から子供向けや海外渡航用、そして日本の技適認証を受けたキャリア端末のベースモデルとしてひそかに流通していたSIMフリー端末ですが、今年に入り一気に市民権を得るに至りました。キャリア端末の没個性化やキャリア縛りを嫌う一部の契約者に広く受け入れられました。

SIMフリー端末は主に、必要最低限のスペックを備えた廉価機やキャリアでは扱ってもらえないような個性的な端末など、ニッチを狙ったものが多いです。特に前者は格安スマホと呼ばれています。Nexus 7で一躍有名になったASUSが放ったZenFoneシリーズは本体ストレージとRAM容量を選択できるとして話題になりました。キャリア向けの端末納入を中断しているパナソニックは法人向けSIMフリースマートフォンに注力することで生き残りを図ることに成功しました。耐衝撃機や1型イメージセンサーを搭載した新生LUMIX Phoneなどが印象に残った方も少なくないでしょう。

ただし、気を付けてほしいことがあります。SIMフリー端末は本当にピンキリで、いいものは本当にいいのですが、中にはハズレも紛れ込んでいます。この頃はベンチャーも格安スマホに参入しようと息巻いていますが、ベンチャーならではの青さが目立つ端末も少なくありませんでした。大方のSIMフリー機はこれから普及が期待されているVoLTEに対応しない機種が多いです。キャリア向けアプリも動作は保証されていないため、キャリア回線で運用する方(特にau回線で運用したい方)は要注意。

■SIMフリー義務化は定着なるか?
2015年夏モデル以降、NTTドコモの全機種やソフトバンクの一部機種にて認められていたSIMロックの解除が義務化されました。これは、auが2014年の年末から提供したVoLTEサービスが大きく絡んでいます。auはLTE方式を採用していながらこれまでは音声通話をCDMA2000で行っていたため、他社とSIMカードの扱いが異なっていました。そのため、SIMロックを解除したスマートフォンではデータ通信できても音声通話ができないことがあります。

auのVoLTE回線用のSIMカードはドコモやソフトバンクと同じ扱いで、対応端末も国内では常時LTEのみにつながる仕組みとなっています。また、海外ローミング時もUMTSのみに繋がるようになっており、政策的にCDMA2000へ繋がせないようになっています。強引に見えるかもしれませんが、これで漸くauも同じスタートラインに立てるようになりました。

なお、SIMロック解除は端末の入手から半年を過ぎれば可能になります。無料でできる場合と、3,240円を支払う必要がある場合があります。また、解約してから3ヶ月以内に行わなければなりません。転売対策のためか、対象機種でも中古で手に入れた場合はSIMフリーにすることができません。そのため、中古市場へ下取りしたい場合は事前にSIMロック解除を済ませてしまいましょう。

SIMフリーにするメリットはキャリアを変えても気に入った端末を引き続き使えることにありますが、実際はキャリア独自サービスの壁などもありメリットを享受しにくいです。一方で、渡航先でプリペイドSIMにて運用できるようになることによるメリットの方が大きいです。なぜなら、海外ローミングサービスでは番号をそのままに通話できるものの、割高になってしまうためです。現地でプリペイドSIMを調達してしまった方がよっぽどか維持費が安いケースがほとんどです。そのため、よく海外旅行する方はSIMロック解除を利用すべきと言えます。

■64bit化に伴う「停滞の時代」突入か?

パソコンに次いでスマートフォンも64bitの時代に突入しました。既にiPhone 5sから64bit化は始まっていますが、いよいよAndroidでも64bit化の機運が高まっています。しかし、多くの契約者は口コミから64bit機への変更をモラトリアムするようになりました。

まず、iPhoneファミリーは方々で指摘されているとおり64bit化によってバッテリーリークが深刻化しています。また、搭載しているチップセットがパフォーマンスを十分発揮できていなかったことも一因でした。ところが、最新機種のiPhone 6s/6s Plusはパフォーマンスが大きく改善すれど、悪化したのは端末価格でした。キャリアや容量によっては10万オーバーとなるため、分割払いを希望しても一括払いでの入手を余儀なくされてしまいます。これが原因でiPhone 6s/6s Plusへの機種変更を断念した契約者も多かろうと思います。

Android陣営のほうはAndroid 5.0以降で64bit化を進めていきましたが、チップセット大手のクアルコムが満を持して出荷したSnapdragon 810(MSM8994)がとんでもないじゃじゃ馬でした。同社では珍しいbig. LITTLE処理を採用したオクタコアチップですが、メーカーのチューニング次第では上手くパフォーマンスを十二分に引き出せなかったことも端末の買い控えを促進させてしまいました。Xperia Z3 SO-01GXperia Z3 Compact SO-02Gの白ロムや中古端末がプレミア価格で取引されるようになったこともそれを物語っているといえます。

なんとか秋冬モデルで安定したパフォーマンスを引き出すことに成功したメーカーもありましたが、一方で妥協してヘキサコアのSnapdragon 808(MSM8992)搭載に仕様変更するメーカーも少なくありませんでした。サムスン電子など、一部の中韓メーカーはSnapdragon 810の熱ダレ問題に懲りたのか、チップセットを自社開発することになったようです。また、一部ではクアルコム独自の64bitアーキテクチャー、Kryo(クライオ)を採用したクアッドコアチップ、Snapdragon 820(MSM8996)搭載機種に期待する向きもあります。

■普及なるか? 新たなスマホ、「ガラホ」誕生
一部を除くほとんどのフィーチャーフォン(ガラケー)は2016年以降、事実上使えなくなってしまいます。つまり、乱暴な言い方をしてしまえばガラケーは一部を除いて2016年以降、ただの電話機になってしまいます。その原因はセキュリティ接続に関わるSHA-1問題です。これによって、ガラケー向けコンテンツが閲覧またはダウンロードできなくなってしまうことがあります。既に、Googleやtwitterなど一部のWebサイトではSHA-1を用いた接続を排しているようです。

また、ガラケーはいくら需要があれど、今では十分枯れまくったソフトウェア資産やデバイスを引っ張り出して製造している状況です。ガラケー用ソフトウェアもサポートが放棄されかけているし、部品も枯渇し始め、保守在庫を引っ張り出してでも作らねばならなくなっています。そのような状況下ですから、やがてはガラケーそのものを作れなくなってしまいます。一部報道によれば、2016年度を以てフィーチャーフォンの生産が打ち切られる見通しとなっています。Android製品の開発から完全撤退し、2016年度いっぱいで携帯電話の生産拠点が閉鎖することになったNECこれを以て携帯電話から完全撤退し、Nのケータイの暖簾を下ろすことになる見通しです。以降は貴重な国産モバイルルーターメーカーとして生き残ることになります。

[2015. 12. 25更新]
日本電気株式会社より、携帯電話事業をNECモバイルコミュニケーションズ株式会社からNEC本体に移管することになったとの発表がありました。なお、新機種開発の見通しは立っていませんが、今後も携帯電話事業は継続する意向とのことです。

そこで、操作体系をガラケーそのものにしながらAndroidで動作する端末を開発しよう、ということになりました。それがガラホです。ローエンド機向けのデバイスを応用した折りたたみ型スマートフォンです。今のところ、Google Playに対応しないため、キャリアが用意するアプリでなければインストールおよび利用はできません。しかし、とある裏技を応用することでGoogle Playで配信されているアプリも利用できるようになるため、マニアからはひそかに注目を集めていたりします。また、従来と同じ料金体系で維持できることと、端末購入費用が割安なことも魅力といえます。スマートフォンはキャリア経由で手に入れるとローエンド機でも現金価格が5~6万円、メインストリーム機では8~9万円するのに対し、ガラホは現金価格が4~5万円と格安になっています。

ガラホはその性質上、LINEやtwitterなどのソーシャルメディアとの連携を見据えて設計されています。また、auのガラホならばLTEに対応しているため、データパックを契約の上でテザリング親機として運用する方法もあります。需要、使い道ともに未知数ですが、概ねゲームや動画閲覧をあまりしないユーザーには向いている端末と言えます。

■端末目当ての番ポがなくなるか?
2006年から運用された番号ポータビリティ(MNP、番ポ)。電話番号を維持したままキャリアを変更できるサービスです。手続き上は現用のキャリアを解約したうえで転出し、新規契約扱いで他社へ転入する、というものです。その際に発行される予約番号を使うことで番ポが受けられるようになります。

本来、番ポは料金や通信品質の改善のために利用されるべきサービスでしたが、いつの間にやら実態とは大きく乖離した使われ方をしていたことが判明しました。各社が競って自社の優位点を訴えたうえで番ポの利用を促していたのですが、その過程で廃止されたはずのインセンティブ(販売奨励金)が事実上復活してしまっていたのです。具体的にいえば、番ポに対して各社が潤沢なインセンティブを用意していたのです。これによって、通常は現金価格が新規、機変では9~10万円もする端末が番ポにより1~2万円、場合によっては一括0円で手に入ってしまうのです。かつて問題視された、解約即新規によって安く機種変更する方法を彷彿させます。

なお、大方の場合、番ポによってキャッシュバックを受けられるようで、契約者は一銭も払わずに済むどころかかえって得をするケースもあります。つまり、多少のリスクを負ってでもタダで端末を手に入れて番ポ…を繰り返すことで機種変更し、番ポによってキャリアを渡り歩きながら大金を稼いでいた番ポ長者がこの世にいるわけです。これが政府当局に知れ渡れることになり、水面下で携帯料金の値下げが議論される中で話題に上ってしまいました。これからはそう易々と番ポできなくなることが確定しました。

これのどこが問題なのかと言うと、先に申した通り解約即新規と同じ轍を踏んでしまっていることです。本来はより良いサービスや通信品質を確保するための「最後の切り札」として使われるべきサービスですが、機種変更のために使われる本末転倒の状態に陥っています。もちろん、キャリアにとってはこのような契約者は厄介者であり、同じ回線を機種変更を繰り返しながら長く使っている契約者にとっても社会の迷惑と言える存在です。つまり、番ポでキャリアを渡り歩く契約者はそうでない契約者から見れば不公平の塊そのものなのです。

と言うことで、2015年は携帯業界にとってターニングポイントになり得る1年でした。果たして、2015年を代表する機種はどれなのか、まずはキャリア端末をおさらいしてみることにします。

[ノミネート端末一覧]
※SIMフリー端末は数が膨大すぎるため、原則的にキャリア販売機のみ紹介します。

・株式会社エイビット
Heart 401AB
iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPad mini 4、iPad Pro
arrows NX F-04G/F-02H、arrows Fit F-01H、arrowsケータイ F-05G
Nexus 6P、dtab d-01G/d-01H、LUMIERE 503HW
・京セラ株式会社
GRATINA2 KYY10、miraie KYL23
BASIO KYV32、INFOBAR A03 KYV33、URBANO V02 KYV34
TORQUE G02 KYV35、DIGNO rafre KYV36、Qua Tab 01 KYT31
DIGNO U/C 403KC/404KC
・LGエレクトロニクスジャパン株式会社
Nexus 5X、Disney Phone on docomo DM-01G
Fx0 LGL25、isai vivid LGV32、spray 402LG
Galaxy S6 SC-05G、Galaxy S6 Edge SC-04G/SCV31/404SC
Galaxy Active Neo SC-01H、Galaxy A8 SCV32
・シャープ株式会社
AQUOS ZETA SH-03G/SH-01H、AQUOS Compact SH-02H、AQUOS EVER SH-04G
AQUOS PAD SH-05G、AQUOSケータイ SH-06G
AQUOS SERIE SHV32、AQUOS SERIE mini SHV31、AQUOS K SHF31/SHF32
AQUOS Xx 404SH、AQUOS Xx2 502SH、AQUOS Xx2 mini 503SH
AQUOSケータイ 501SH/504SH
AQUOS CRYSTAL Y 402SH、AQUOS CRYSTAL 2 403SH
Xperia Z4 SO-03G/SOV31/402SO、Xperia Z5 SO-01H/SOV32/501SO
Xperia Z5 Compact SO-02H、Xperia Z5 Premium SO-03H
Xperia A4 SO-04G、Xperia Z4 Tablet SO-05G/SOT31

・ZTEジャパン株式会社
BLADE Q+ 402ZT、かんたん携帯8 302ZT、モバイルシアター 502ZT

« スマホとカメラの融合を目指して | トップページ | 筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2015 »

KDDI/au」カテゴリの記事

NTT/ドコモ」カテゴリの記事

ソフトバンク」カテゴリの記事

携帯・デジカメ」カテゴリの記事

趣味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1429845/63050599

この記事へのトラックバック一覧です: 筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2015 [はじめに]:

« スマホとカメラの融合を目指して | トップページ | 筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2015 »

Other Accounts

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

無料ブログはココログ