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2013年12月21日 (土)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2013外伝 (第5回)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2013外伝
EPISODE V: Best or Worst of iPhone

2008年に日本で発売できるようになって以来、着実にユーザー数を増やしているiPhone。2013年現在はiPhone 5の残余在庫と、最新モデルのiPhone 5s/5cが手に入るようになっています。ここでは筆者の考える、歴代のiPhoneの中で最高のiPhoneと最悪だったiPhoneを紹介したいと思います。

なお、iPhoneの変遷は以下の通り。発売日はすべて日本時間です。
・iPhone: 2007年6月29日発売。GSM対応のため、日本では利用不可。
・iPhone 3G: 2008年7月11日発売。当世代よりソフトバンクモバイル経由で日本でも発売。
・iPhone 3GS: 2009年6月26日発売。32GBモデルが加わった。主にカメラ機能が強化。
・iPhone 4: 2010年6月24日発売。フレームがアンテナになり、現在のiPhoneの雛型に。
・iPhone 4S: 2011年10月14日発売。auでも発売が開始。CPUがデュアルコアになった。
・iPhone 5: 2012年9月21日発売。LTEへの対応とLightningコネクターの採用が大きな特徴。
・iPhone 5s: 2013年9月20日発売。NTTドコモでも発売が開始。世界初のARMv8対応機種。
・iPhone 5c: 2013年9月20日発売。実態はiPhone 5そのもので、プラスチックボディにより低価格化を実現。

■Best of iPhone: iPhone 4S(2011年)
―ジョブズの遺作となった最高傑作


Iphone_4s


最新機種であるiPhone 5s/5cが発売されようとも、筆者としてはこのiPhone 4SこそiPhoneの最高傑作との評判がゆるぎないです。なぜなら、iPhone 5以降は残念ながら妥協の塊になってしまい、今までのiPhoneのように決して挑戦することがなくなってしまったためです。アップル社の創業者にして当時の暫定CEOだったスティーヴ・ジョブズ氏が直接開発に携わった最後のiPhoneで、ジョブズ氏は4Sの完成を見届けるようにこの世を去ってしまいました。享年56歳でした。

iPhone 4Sの大きな特徴として挙げられるものは、シリーズ初の64GBモデルの追加、8メガピクセルカメラの搭載などカメラ機能の強化、音声コンシェルジュ機能のSiri(シリ)、そしてデュアルコアチップの搭載です。また、iPhone 4からステンレスフレームの形状を変えたことで電波特性が抜群に良くなっていました。4Sの「S」とは、Siriの「S」です。

筆者が4SをiPhone史上最高傑作としている最大の理由はズバリ、今までのiPhoneらしさを失うことなく良好なユーザーエクスペリエンス(UX)を維持できていたことにあります。この大きさで140gほどと軽量ではありませんが、逆にiPhoneのプレミアム感を演出するにはもってこいでした。当時のスマートフォンでは先を行くCortex-A9マイクロアーキテクチャのデュアルコアCPUと当時の最新世代の携帯ゲーム機とほぼ遜色ないスペックのGPUを採用したチップを搭載することで絶妙なヌルサクさを実現していました。ソフトウェアとハードウェアを一緒に設計できるAppleならではともいえます。

特に、いわゆるスマホフォトの火付け役としても知られています。この機種にはXperiaシリーズと同じカメラモジュールが搭載されていました。裏面照射型CMOSイメージセンサー、Exmor Rを採用しています。また、顔認証AFや電子式手ブレ補正機能も搭載しており、これにより従来のiPhoneとは比べ物にならないほどきれいな写真が撮れるようになっていました。4Sではロック画面から直接カメラを立ち上げることができるようになっていため、とっさに4Sを取り出して写真を撮っていた、というユーザーも多かったのではないかと思います。

Iphone_4s2


単なるiPhone 4のマイナーチェンジにとどまらず、いち早くBluetooth 4.0に対応したことでウェアラブルデバイスやライフログデバイス、ヘルスケアデバイスにも対応できるようになったこと、音声により様々な情報を知ったりアクティビティを管理、執行できる前述のSiriや、MobileMeに代わるクラウドサービス、iCloudへの対応などが大きな特徴でした。特に、iCloudによりパソコンレスでデータを共有、管理できるようになったことで当時から日本でも急増してきたパソコンを持たないiPhoneユーザーにとっても使いやすくなっていました。

日本ではauでも発売が決まり、多くのauユーザーを驚かせました。当時から、iPhoneはどこで買うのがお得かが議論され始めるようになりました。これもあって、市場競争により実質0円で16GBモデルが手に入るようになり、維持費の安さからiPhoneが爆発的に売れるようになりました。特に2012年の夏商戦以降、出来の悪かったAndroid端末と決別しようとドコモから番ポ転出した契約者のほとんどがどちらかに移ってこれを選んでいたのではないでしょうか。

3G時代の最後を飾るにふさわしかったiPhone 4S。3.5型ディスプレイDockコネクターへの対応もこの世代が最後になりました。一方で、すぐれたソフトウェア設計やハードウェアデザインは直接のライバルになったAndroid 4.0以降のAndroid OSや、それを採用した端末にも生かされることになりました。一方で、NTTドコモがSiriに対抗してiコンシェルのノウハウを生かしたサービス、しゃべってコンシェルを開発するきっかけにもなり、こちらも高い評価を得ていました。

2013年現在も、海外ではiPhone 4sとして引き続き販売中です。もちろん、最新機種が好まれる日本では根強い人気がありながらも2012年のiPhone 5発売と同時に出荷を終了させてしまいました。以降、海外版の白ロム輸入品か中古品しか購入手段がなくなってしまいました。

■Worst of iPhone: iPhone 4 (2010年)
―iPhoneの転換点、冒険が仇となったのか…?

Iphone_4


iPhone 3Gで日本に上陸し、通の間でiPhone 3GSの出来の良さが口コミで伝わり…。当時のiPhoneはまだ、携帯マニアや流行に敏感な若者を中心に支持されていた端末に過ぎませんでした。これが大衆的人気へつながっていく足掛かりを築いたのがiPhone 4でした。

iPhone 4はiPhone 3GSとは全くの別物といっていいほど大きく変わっています。今まではプラスチック製ボディを採用していましたが、この機種では両面ガラスを基調にしたデザインを採用。シャーシを2枚のガラスで挟むような構造になりました。そのシャーシを取り巻くように構成されたフレームもステンレス製になり、端末の剛性アップに貢献していました。なお、このフレームはワイヤレス通信を行うためのアンテナも兼ねています。もちろん携帯電話の電波も、アンテナ代わりになっているフレームで拾うようになっていました。こうしてみると、今日のiPhoneのデザインの原点といえるのではないでしょうか。

Iphone_4_a



機能面でも大きく進化が見られます。カメラは3GSから大きく進歩し、5メガピクセルの裏面照射型CMOSセンサーとフォトライトを搭載。前述の4Sほどではありませんが、実用的なカメラになりました。サブカメラが搭載され、これを使ったテレビ電話の1種、FaceTimeに対応しました。ディスプレイもサイズを維持しながらiPhone 3GSのHVGA(320×480pixels)と比べて倍密のダブルVGA(640×960pixels)に進化。Appleでは網膜のように緻密、という意味を込めてRetinaディスプレイと呼んでいました。この世代から本体にはマイクが2つ搭載されるようになり、音声通話時は片方がキャンセリングマイクとして機能するようになっていました。これにより、騒音を気にせず通話ができるようになっていました。

デザインを変えたことで本体のスペースに余裕ができたことからバッテリー容量も増加しました。この機種に採用されたチップセットはCortex-A8マイクロアーキテクチャ採用のApple A4ですが、バッテリー稼働時間を長めるために1GHzから800MHzへとダウンクロックされていました。スペック的にはSnapdragonのMSM8255/8655に近いです。

Iphone_4_b



このように当時の最先端を行くスペックと技術が詰まった端末でしたが、そのために生じた粗も多かったのも事実です。まず取りざたされたのがいわゆる尿液晶現象。当時としてはppiの高い液晶ディスプレイを搭載することになったわけですが、そのための技術が発展途上だったのか歩留まりが悪く、ロットによってディスプレイの色温度にムラが生じやすかったのです。特に、色温度9,300Kの白が好まれる日本では非常に気にする人が多かった現象でした。世界的には白の色温度は6,500Kが標準だったため、ごく少数で気にされた程度です。

直接手で持つと電波が受信しにくくなる現象はとりわけ深刻でした。というよりは、前述したアンテナの構造から、アンテナの電波特性は劣悪そのものでした。というのも、筆者は当時、店頭に展示されていたiPhone 4で体験しています。iPhone 3GSでは起こり得なかったので、この機種固有の問題といえます。ただでさえ、盗難防止用の什器に設置されていて何も触れていないだけでも電波ピクトは最高のバリ5をに達することができないうえ、握っているとそれがバリ2まで悪化したり、Safariを開こうとするとまともにパケット通信できなく表示に時間がかかったりと、非常に大変だったのを覚えています。

実は日本の携帯電話でも、「この位置にアンテナがあるので、覆うと受信しにくくなります」と説明書に表記されています。つまり、フレームそのものをアンテナにしてしまったことで、iPhone 4は皮肉なことに手で持つと電波が受信しにくくなってしまったわけです。そこで、Appleでは当時、フレームを手で触れないようにするためのシリコンバンパーを無償配布していました。その他にはiOSのマイナーバージョンアップなどで電波問題の解決を図っていたようです。

Iphone_4_w


また、ホワイトモデルの発売が大幅に遅れたことも惜しむべき点でした。従来のホワイトモデルとは異なり、画面側もホワイトになったのが特徴でしたが、製法上の問題によりブラックモデルとは同時発売にできませんでした。結局、ホワイトモデルの発売は2011年4月28日となってしまいました。

しかしながら当時の日本でスマートフォンを取り巻く一大ビジネスを築くのに貢献していました。ハードシェルやシリコンカバーなど、なるべく本体を手で覆わないようにするためのカバーが売れるようになりました。また、iPod touchと同じくApp Storeが利用できるため、数々のゲームアプリがその当時から提供されるようになり、スマホシフトの嚆矢になりました。実用的な周辺機器からヘッドホンジャックカバーのようなファッション目的のものまで、アクセサリービジネスの拡大にも一躍買っていました。

筆者はこのiPhone 4をiPhone史上最悪の世代と位置付けていますが、それはAppleが冒険をした結果が振るわなかったためと総括しています。実際、この世代で上がった問題のほとんどはiPhone 4Sで解決しています。アンテナは3分割から4分割にすることでより電波をつかみやすくなっていますし、4Sでは最初からホワイトモデルを用意できています。実際、AppleもiPhone 4は失敗作と認めていたようで、iPhone 4Sの開発にあたってはいろいろと技術的に検証を重ねていたようです。つまり、iPhone 4なしではこれ以降のiPhoneシリーズの方向性は打ち出せなかったのです。また、日本においてもこの機種のヒットがなければスマートフォン普及の足掛かりを築くことができなかったのです。

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