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2013年12月18日 (水)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2013外伝 (第4回)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2013外伝
EPISODE IV: 携帯デザイン進化論

まず、お知らせです。2013年12月18日より本家大元、Impress Watch開催のケータイ・オブ・ザ・イヤー2013の投票受付が開始しました。12月24日に投票を締め切り、12月27日に結果を発表します。なお、このblogでは「筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2013」を12月24日前後から逐次結果を発表したいと思います。お楽しみに!

さて本題です。今では、スマートフォンの普及でどれも似たり寄ったりのデザインになってしまいましたね。しかし、フィーチャーフォン全盛期にはどの機種もデザインで個性を主張していた、そんな時代がありました。

■INFOBARシリーズ
―日本のデザイン携帯の原点


携帯電話に求められるものとしてスペックアップがありましたが、それにデザイン性を加えた記念すべきシリーズとしてこれを取り上げたいと思います。その根強い人気から、断続的に後継機が発売されていた点は特筆に値します。

これまで発売された機種は以下の通り。
INFOBAR (A5307ST): 2003年10月31日発売。当時の鳥取三洋電機株式会社が開発。
INFOBAR2 (W55SA): 2007年12月1日発売。当時の鳥取三洋電機株式会社が開発。
INFOBAR A01 (SHX11): 2011年6月30日発売。シャープ株式会社が開発。
INFOBAR C01 (SHX12): 2012年2月3日発売。シャープ株式会社が開発。
INFOBAR A02 (HTX21): 2013年2月15日発売。HTC Corporationが開発。

A5307st

[写真はINFOBAR]

INFOBARはCDMA 1x端末、INFOBAR2はWIN端末、INFOBAR A01/C01はAndroid 2.3スマートフォン、INFOBAR A02はAndroid 4.1スマートフォンとして発売されています。デザインのアイデンティティは既に初代INFOBARで確立されており、最新機種に至るまで一貫して深澤直人がデザインを担当しています。この点では、近年まで喜多俊之がデザインしてきたシャープの薄型テレビ、AQUOSに似たデザインアイデンティティを確立しているといえます。

初代INFOBARから一貫して、ハードウェアキーはタイル状に配置されています。これがボタンの押しやすさにもつながっており、一種のユニバーサルデザイン志向として後の携帯電話のデザインにも大きく影響を与えました。また、一部を除いたカラーではボタンカラーがランダムにされており、これがデザインアクセントにもなっていたり、キー配置を覚えるにもわかりやすく配慮されていました。これらは後に深澤がデザインしたneon(W42T)やIS01のコンセプトにも影響を与えていました。

W55sa

[写真はINFOBAR2]

ただし、初代INFOBARは当時発売していたA5501Tなどと比べるとどうしても機能面で見劣りしてしまう端末でした。しかしながらデザイン面の評価が圧倒的に高く、当時のベストセラー機種になりました。本家大元のケータイ・オブ・ザ・イヤー2003にも選出されたほどです。なお、INFOBARに気を良くしたのか、auは後にtalby(A5508SA)を発売しましたが、INFOBARを超えるヒットにはなりませんでした。

その反省からか、INFOBAR2は当時のWIN端末と遜色ないスペックでアンテナを本体に内蔵したワンセグチューナー搭載になったり、当時最先端の有機ELディスプレイを搭載したりして機能面で強化を図っていました。その後はしばらくau design projectの停滞とともに雌伏の時を迎えていたのですが…

Shx11

[写真はINFOBAR A01]

突如、2011年にスマートフォンとして復活を遂げました!

INFOBARシリーズを代々手掛けていた三洋電機の携帯電話事業撤退に伴い、シャープが代わりに開発を手掛けることになりました。当時のスマートフォンとしては出来がいい部類でした。しかし、本体ストレージが1GB程度、バッテリー容量が1,020mAhと少なかったのはさすがに気になりましたね…。

Shx12

[写真はINFOBAR C01]

2012年には往年のINFOBARを彷彿させるデザインのストレート型テンキー付きスマートフォンとしてINFOBAR C01が発売されました。UIの使い勝手はA01よりも改善され、シャープが発売してきたスライド型スマートフォンと比べるとキー操作とタッチパネルのシームレスさが魅力でしたが、やはりスマートフォンとしての粗や電池持ちの悪さが目立つ結果になりました。

Htx21

[写真はINFOBAR A02]

そして2013年、またまたメーカーをHTCへ交代させてINFOBAR A02を発売。あの「溶けかかった飴」をイメージしたデザインは健在で、当時の最先端を行くクアッドコア、LTE対応、Android 4.1というハイスペックスマートフォンに様変わりしました。発売から半年もしないうちに販売終了になり、2013年のグッドデザイン賞にも選定されていました。しかし、その一方でAndroidの仕様変更に伴って「INFOBARらしさ」が次第となりをひそめていったのも事実でした。

■PENCK / W31H(株式会社日立製作所)
―ブレイクスルーを克服した結果

W31h

実は筆者が最も衝撃を受けたデザイン携帯がこれです。携帯電話らしからぬデザインで、最初に見た感じ「まるでハクキンカイロみたい!」と思ったほどです。恐らく、筆者が知る限り、日本の携帯電話としては最も前衛的なデザインではないでしょうか。デザインを担当したのは世界的なアートデザイナー、サイトウマコトでした。

カラーは3色用意されていましたが、中でも目玉とされていたのがメタルの塗装仕上げでした。なんと全身がメッキになっています。当時の従来の技術ではこのようなことはご法度とされていました。それは、メッキによって電磁遮蔽され、電波がアンテナに届かなくなってしまうためです。そこで、電波受信にも影響を及ぼさぬよう、蒸着塗装によりこのカラーリングを実現していました。この蒸着塗装、早速2005年発売のF902iでも生かされています。

W31h2

このように、パカッと開くと逆ヒンジ型の折りたたみ携帯であることが分かりますが、その際も「キィィィィィーン!」と、逆に閉じると「ピピピピピ…」と、いかにも前衛的な効果音が鳴ります。UIデザインも視覚的に分かりやすくできており、グラフィックデザイナーが本業の氏の芸の細かさがうかがえました。

W31h3

当時は携帯電話を買うと必ず付属品が付いてきた時代でしたが、PENCKには白で統一された電源アダプターと卓上ホルダーが付属していました。通信ケーブルやヘッドホンを差し込みやすいよう、卓上ホルダーの片方に隙間を作れるようになっていました。筆者は卓上ホルダーにセットされたこの機種の写真を見たことがありましたが、これほどよくなじむようデザインされているものは後にも先にもなかったです。なお、卓上ホルダーと本体の接点には贅沢にロジウムメッキがされていました。ロジウムメッキといえばオーディオマニアによく知られていた手法でしたが、これを携帯電話に採用した例はほとんどなかったです。

なお、この機種は曰くつきでした。なんと、この機種に採用されているフォントが実はフリーフォントの無断引用だったのです。後にその書体の作者へデザイナーとともにKDDI株式会社が謝罪することで和解、解決を見ましたが、その当時の開発背景のごたごたさときたら…。なお、そのフリーフォントは現在でもダウンロード可能になっています。原因はKDDI側の勘違いで、「サイトウ氏が端末のイメージに合う書体を選別していた」ことをKDDI側が「サイトウ氏が独自にデザインした書体を採用」と誤解していたのが真実でした。

端末としても当時のサービスには大方対応できていましたし、WIN初のau design project端末としてはまずまずのスタートだったではないかと思います。コスト的にカメラのAF化はまだまだだったので、当時の機種としては及第点でしょう。2012年7月24日以降、この機種は他の旧800MHz帯対応機種とともに利用不可になってしまいました。

これら、au design projectは一定の成果を収め、INFOBAR2の発売をもっていったん終了しました。しかしその後、iida(イーダ)として突如再始動し、GRAPPAシリーズ(G9/G11)などのヒット作を送り出しました。

そして、ドコモもこのau design projectに刺激を受け、あのベストセラーになったデザイン携帯を世に送り出すことになります。

■FOMA N702iD / N703iD (日本電気株式会社)
―可士和ワールドを「貫き通した」大英断

N702id

[写真はN702iD]

当時、ドコモが廉価機として発売していた7シリーズ。au design projectに対抗して大方の機種をデザイン携帯にして挑んでいました。その中でも最も売れ筋になっていたのがこのN702iDでした。当時よりその才能が注目されていた佐藤可士和(かしわ)氏を招いての開発で、氏が手掛けたのはデザインやプリセットデータなど、多岐にわたりました。

特徴的なのはこのフォルム。可士和氏らしく直線を基調としたスタイルで、表面にカメラとフォトライトを搭載。そのカメラの横にある有機ELディスプレイは電光掲示板を連想させるものでした。iチャネル表示を有効にすると、あたかも電光ニュースのように表示されるのです。機能面でも当時のツボを抑えており、当時のフラッグシップ機N902iとほぼ遜色ありませんでした。発売されるや否や7シリーズとしては記録的なヒットとなり、2006年のベストセラー機種として長らく販売されてきました。

N703id

[写真はN703iD]

その後、2007年にN703iDとしてモデルチェンジ。カメラはCMOSセンサーの感度が上がってきたことからフォトライトを省略、ヒンジ形状の若干の変更、microSDカードへの対応など、正当進化といえるものでした。なお、このN703iDこそ、N702iDでいろいろ妥協したことを実現できたために可士和氏の「理想」に近い端末になったそうです。現在のルネサス エレクトロニクス株式会社の母体となったNECエレクトロニクス株式会社が開発した「M1」というチップを搭載。OMAPを採用していたN702iDに比べ、待受時間の長時間化など省電力化を実現しました。

N703id2

[あの色が帰ってきた!]

結局N703iDは売れ行き、評判ではN702iDを上回ることができませんでした。しかし、後に追加カラーとしてN702iDにあったブラック、レッドの発売が発表されるなど、前機種(のデザイン)の根強い人気を確証づける結果になりました。また、N703iDのテレビコマーシャルは内蔵コンテンツだけで収録されたというエピソードもあり、その一部はN703iμ、N704iμ、N904iでも閲覧、再生可能になっています。

■FOMA SH702iD (シャープ株式会社)
―ミニマリズムに秘めた大きなポテンシャル

Sh702id

東京三菱銀行のCIロゴマークを手掛けたことで知られる巨匠、松永真がデザインを担当した機種。当時のFOMA端末としては最小・最軽量(89g)を実現していました。松永氏曰く、「公衆電話が無くなったので携帯電話を持つようになったが、自分の持ち物として許せるものが欲しかった」とのことで、それが以下のようなデザインコンセプトにつながっています。

御覧のとおり、デザインアクセントは側面のボタン以外にはカメラ、通知LED、スピーカーホール、赤外線ポートのみ。非常にシンプルなデザインです。このシンプルなデザインはボタン側でも貫かれており、テンキーの数字以外を目立たなくさせていました。ディスプレイは2.0型QVGA液晶と小さいですが、シャープのお家芸たるLCフォントを採用したことで視認性が良くなっていました。miniSDカードスロットが電池パックを外したところに配置されるなど、極力開口部を減らす工夫がなされていました。

これだけ小型ながら機能はSH902i譲りといえるもので、SD-Audio再生機能まで搭載していました。SH902iにもあったアクティブマーカー機能も搭載しており、当時のシャープ機となんら変わらない使い勝手でした。小さな本体に最大限の機能を詰め込んだこの機種は702iシリーズとしてはN702iDに次ぐ人気を誇っていました。

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コメント

>>たけぞ~さん
ありがとうございます。私にとって励みになります。

この業界、メーカーの栄枯盛衰もサービスやシステムの変化も目まぐるしいので死語が多くなってしまいますね。

>>すごく個性的な変態スマホなんて出てくる時代は来るんでしょうかね?

LGのG Flexなんか間もなく出そうですね。一言でいえば「ひしゃげたスマホ」で、電池パックまでひしゃげたものを開発して搭載したそうです。

私はCLIEのNZシリーズのような形のQWERTYフルキーボード搭載の折りたたみ型スマホが出たら欲しいです!

ここまでコッソリ読んでました。
今となっては死語とも言える単語ばかり( ̄∀ ̄;)
こんな携帯業界が元気の良かった頃がすごく懐かしいです。
すごく個性的な変態スマホなんて出てくる時代は来るんでしょうかね?

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