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2013年12月17日 (火)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2013外伝 (第3回)

筆者の選ぶケータイ・オブ・ザ・イヤー2013
EPISODE III 携帯が女に媚びてはいけないわけ

携帯電話の需要をいつでも下支えしているのが流行になおさら敏感な女子高生や女子大生。だからといって、「これなら女性に売れるだろう」と思ってデザインした結果が裏目に出てしまった機種もたくさんあります。本当は、ユニセックス志向のデザインをしなければならなかったのです。ここではそんな機種を紹介してみようと思います。

■Lechiffon / P253iS (パナソニック モバイルコミュニケーションズ株式会社)
―発想は悪くなかったけれど…

P253is


2004年に発売され、その小ささからP252iSに引き続きヒットしたP253iをベースにし、翌2005年に発売された機種。この機種は携帯電話の再定義を試みた野心あふれたコンセプトではありましたが、iショット対応機種の集大成と言われたP253iとは対照的な評価になってしまいました。なお、本作とほぼ同時期に発表された機種としてはコンセプトモデルが多く、Crystal Kayのコマーシャルで話題になったMusic PORTER(D253iWM)、小型携帯として話題になったpremini-S(SO213iS)、薄さにこだわったカメラなし携帯のprosolid(P213i)がありました。

ペットネームは「ルシフォン」と読み、Le chiffonと分解できる通りシフォン電話かばん語になっていました。その名のとおり、身につける感覚で使う携帯電話、というコンセプトのようでした。外装に合成皮革を採用し、カメラ周りにラインストーンの入ったチャームを採用していました。元々がフランス語由来のペットネームだったため、カラー名もやはりフランス語から。Rose(ピンク)、Blanc(白)、Bleu(水色)の3色立てで展開されました。

ところが、こうしたコンセプトモデルの中では最も売れなかったようです。発売から1年たってもなお売れ残っていたこともざらでした。といいますのも、ベースになったP253iと比べてminiSDカードに対応しなかったこと、何より閉じたときのデザインは良かったのですが開いてみるとおもちゃのような作りに見えてしまう点でがっかりさせられたのでしょう。

その他のコンセプトモデルはといえば、prosolidシリーズはカメラ付携帯禁止の職場もあったことから法人需要に支えられ法人向け端末の嚆矢になりました。Music PORTERシリーズは音楽携帯の方向性を決定づけたとして三菱電機の端末以外にもそのコンセプトは影響を与え、auがLISMOを展開するきっかけを作った音楽携帯の先駆者的存在でした。preminiシリーズはストレート型端末の再評価につながり、一時的にストレート型端末の人気が再燃するきっかけになりました。preminiシリーズではないもののSO902iやSO902iWP+へそのコンセプトが受け継がれていくことになっていきました。

その一方、Lechiffonが単なる無駄に終わってしまったと一概には言えません。携帯電話を道具からアクセサリーの一種へと再定義することになり、古くはデコレーション携帯の人気につながり、2010年頃から爆発的に普及してきたiPhoneにおけるアクセサリービジネスや、スマートフォンのヘッドホンジャックに装着するスマホピアス(ジャックカバー)の普及など、違った意味で携帯電話のアクセサリーとしての着飾り方を示してくれていました。

■Sweetsシリーズ(三洋電機株式会社)
―子供向け携帯のルーツだったが…

A5510sa


[写真は初代Sweets]
auでは2004年にA5405SAというジュニアモードを搭載した機種を発売しており、子供に携帯電話を持たせたいと思っている契約者からは一定の支持を得ていました。この機種のコンセプトから着想を得て、完全にティーンズ向け端末として開発されたのがSweetsシリーズです。全機種CDMA 1x端末でしたが、端末スペックはターゲット層とともに徐々に向上していきました。Sweets pureでは大画面化とカメラの高画素化が図られ、最終モデルとなったSweets cuteではmicroSDカードへ対応となりました。

・Sweets / A5510SA(2005年3月22日以降発売): A5507SAやtalby(A5508SA)の姉妹機種
・Sweets pure / A5519SA(2006年2月11日以降発売): A5518SAやジュニアケータイ(A5520SA)の姉妹機種
・Sweets cute / A5524SA(2007年2月23日以降発売): ジュニアケータイ(A5525SA)の姉妹機種

A5519sa

[写真はSweets pure]
全機種ともデザインを担当したのはインダストリアルデザイナーの柴田文江。当時、ベビー用品や体温計、調理家電のデザインで注目を浴びていた彼女でしたが、その経験を生かしてプロジェクトへ参加することになりました。なお、auではフレンドリーデザインシリーズにカテゴライズされています。これはユニバーサルデザインに「楽しさ」をとりいれたもので、主なヒット端末としてカシオ計算機のW41CAがありました。

A5524sa

[写真はSweets cute]
2代目になるSweets pure以降はジュニアケータイと同時開発になり、Sweetsシリーズのほうが対象年齢層が若干高くなるよう差別化されていました。3代目になるSweets cuteの姉妹機種だった2代目ジュニアケータイ、A5525SAでは遂に柴田氏がデザインに携わることになり、デザートを意識したカラーリングのSweetsシリーズに対し、ジュニアケータイは北欧のおもちゃ風のデザインと明確にコンセプトを別にしたデザインで棲み分けを図っていました。

このシリーズ、実は本来ターゲットにしていたティーンズ層の女子以外にも、その親御さんであろう20代~40代の主婦にも「メールと電話をするだけなら十分」として受け入れられていました。意外なことにシンプルな機能からあえてこの機種を選んだ男性ユーザーも少なくはありませんでした。

ところが、ごくごく一部から当時ネットスラングになっていた「スイーツ(笑)」として嘲笑の対象にされてしまったことが悔やまれます。本来の「スイーツ(笑)」の意味はマスコミに踊らされやすい女性だとか、言い換えを多用することで洒落ぶっている女性メディアの作り上げた流行に影響されやすい女性などを表していました。2005年頃からデザートの言い換えとしてスイーツが多用された結果、全国的にスイーツブームが引き起こされたことに由来していました。

これもあって当時、ネットコミュニティを中心にauの携帯電話のデザインがどんどん安っぽいものになってしまったことを嘆く声があり、不名誉なことに「スイーツ(笑)携帯」の語源になってしまいました。auもCDMA 1x端末の新規開発終了を以てこのシリーズも終了し、子供向け携帯電話はジュニアケータイへ一本化の後、2010年に発売されたmamorinoシリーズへ受け継がれることになります。mamorinoシリーズの開発に柴田氏が参加することはありませんでしたが…。

さて、続いてはドコモがデザイン携帯の開発をやめ、ブランドとのコラボレーションに転じるきっかけになった端末を紹介したいと思います。

■FOMA D702iF(三菱電機株式会社) / N702iS(日本電気株式会社)
―ドコモのデザイン携帯最大の汚点


2006年当時、au design projectへ対抗せんと7シリーズでデザイン携帯を多数発表していたNTTドコモ。その中で成果を上げていたのはP701iDやN702iD、SH702iDぐらいでした。中でも、当時の若者の間から注目を集めていたクリエイター、佐藤可士和氏がデザインしたN702iDは爆発的にヒットしていました。これについては次回特集したいと思います。その一方、デザイン携帯でありながら泣かず飛ばずだった端末もありました。それが今回紹介するD702iFとN702iSでした。

D702if


D702iFは、現在もセレクトショップのオーナーかつデザイナーとして盛業中の幾田桃子氏がデザインを担当した機種。三菱電機の符丁がスリーダイヤモンドのDに由来するためにD702iDとすることができず、Feminine、Fashionableなどを意味する「F」が用いられました。その通り女性ユーザーを意識したほっそりとしたフォルムが特徴で、そのためにディスプレイは2.0型と小さくなっています。キッチンタイマー、バイオリズムアプリなど女性に気配りした機能が多く、特に防犯ブザーを搭載しない代わりにイミテーションコール機能を業界に先駆けて搭載していました。不審者に襲われたことを大音量で周りに知らせる防犯ブザーとは異なり、イミテーションコールは電話しているふりをすることでそれを未然に防ぐ効果があるとされていました。

N702is

N702iSのほうは未成年の妊娠という衝撃的な題材で注目を集めた日本テレビの水曜ドラマ「14才の母」の劇中で、主演の志田未来(余談だが、放映当時は13歳だった)が使っていたことが印象に残っている人も少なくなかったでしょう。NEC最後の着せ替え携帯でもあり、デザインに携わったのは現在もnendoにて数々のヒット商品やベストセラーに携わっている佐藤オオキ氏。デザインコンセプトは「コップのような携帯」で、携帯電話としては珍しい筒状のデザインでした。モーションセンサーを搭載することで、端末を傾けると水やドリンクが入っているように見える待受画面が傾いているように変化するギミックが用意されていました。赤外線通信もやはり、操作してから傾けて送信する、というこだわりようでした。卓上ホルダーもドリンクホルダーのようなデザインになっていました。

この両機種ともコンセプトは悪くなかったのです。悪かったのは市場の需要を完全に読み違えていたドコモ。当時はとにかく9シリーズが売れまくっていたドコモでしたから、本来のターゲットとしていた女子高生や女子大生などからそっぽを向かれてしまいました。それもそのはず、この2機種はメモリーカードに対応していなかったのです。正確にいえば、当時の技術では対応できなかったわけです。さらに言うと、N702iSではイヤホンジャックが旧型だったため、ヘッドホンが接続できなかったのです。

当時からメガピクセルカメラを搭載した機種が当たり前になったこともあり、写メ(=携帯のカメラで撮影)していくたびにどんどん本体メモリーの空き容量が不足していくことが分かっていながら、メモリーカードへの対応を見送ってしまったことで多くの携帯ユーザーがほかの機種に流れてしまうことになりました。これらが発売された2ヶ月後の2006年秋にはほとんどの機種でmicroSDカード対応になった903iシリーズや703iシリーズが発表されています。もしそれに先駆けてmicroSDカード対応になっていれば確実に売れていたことでしょう。

実際、これら2機種は翌2007年に発表の704iシリーズ発売まで一部カラーが売れ残るほど不遇でした。これに懲りたのか、ドコモはデザイン携帯プロジェクトをN904iの発売を以ていったん終了させ、N903iで実験的に行っていたブランドとのコラボレーションをN705iで本格化させる方向に方針転換することになりました。ちなみに、N903iではサマンサタバサと、N705iではamadanaとのコラボレーションを実現しています。N705iは当時の7シリーズの中でも突出した売れ行きを見せていました。

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